さらに、安息香酸NaがビタミンCと反応すると、ベンゼンに変化する。このベンゼンは発がん性があるという。「ベンゼンはなかなか壊れないため、体内で異物となってぐるぐる巡り、特に造血器官である骨髄に悪影響をもたらして白血病を起こすと考えられている」。
2006年3月に、英国で安息香酸(安息香酸Naは、安息香酸にNa=ナトリウムを結合させたもの)と酸味料、および酸化防止剤のアスコルビン酸(ビタミンC)の両方が添加された清涼飲料水からベンゼンが検出され、回収騒動が起きた。
「これを機に、日本の清涼飲料水を消費者連盟が調査したところ、ある清涼飲料からは1リットル当たり1.7μg(μ=100万分の1)のベンゼンが検出され、ある絶倫系飲料からは7.4μgが検出された。添加されている安息香酸Naとアスコルビン酸(ビタミンC)が反応したものと考えられます」
厚生労働省は同年5月、国内で流通する安息香酸とアスコルビン酸(ビタミンC)が添加されている清涼飲料水のベンゼンを分析調査した結果、31銘柄のうち、1銘柄から日本の水道水の基準値およびWHOの飲料水ガイドライン値(10ppb)を超えるベンゼンが検出された。その製品に対して、自主回収と成分の見直しを要請している。
では、安息香酸Na入りの栄養ドリンクと、ビタミンCのサプリメントを一緒に飲むとどうなるのだろう? 「胃の中で反応してベンゼンを生成するかもしれませんね」と渡辺さん。飲み合わせの影響も怖い。
「トクホ」を信用しすぎるな!
では、トクホ(特定保健用食品)のドリンクなら安心・安全なのか。
トクホとは、健康食品の有効性や安全性について国が評価し承認を与える制度のこと。1991年に創設された。消費者庁(2009年8月までは厚生労働省)の審査を経て承認された食品には「トクホ」のマークをつけて、「特定の成分や効果」を表示することができる。
ただし、医薬品ほどの効能はない。にもかかわらず、健康ブームでトクホの人気が高まり、「脂肪を消費しやすくする」「脂肪の吸収を抑える」「お腹の調子を整える」「食後の血糖値を抑える」などをうたうドリンクが増えている。「中にはむしろ健康に悪いものもある」と渡辺さんは忠告する。
まず、人工甘味料のアスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKが添加されているものが多い。「低カロリー」タイプのドリンクには、だいたい入っている。人工甘味料の恐さについては特集1日目の記事で大西さんが説明したとおりだ。
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