シティバンク銀行、"熱気なき"邦銀の応札 個人金融部門売却の行方はいかに

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顧客維持のため、海外ATMの利用を継続しようとするなら、シティグループにネットワーク使用料を払う必要が出てくるだろう。同グループが売却を円滑に進めるため当初数年は無料としても、いずれ使用料負担を迫られる。

邦銀でも、新生銀の総合口座は世界約200カ国、約200万台のATMで現地通貨による引き出しが可能。VISAと提携しているからだ。シティ銀の個人部門を買収した邦銀も、VISAと提携すれば同様のサービスは可能かもしれない。しかしそのための費用負担は避けられない。

収益性はそもそも低い

そもそもシティ銀の収益性は極めて低い。同行の経常損益は10年度に181億円の黒字だったが、12年度は15億円の赤字。13年度は28億円の黒字に回復したが、14年度第1四半期(14年4~6月期)は再び12億円の赤字に転落している。

04年以後も、09年と11年に行政処分を受けており、11年の業務改善命令は現在も解除されていない。個人金融部門で顧客に対し、不適切な勧誘や不適切な投資商品の販売などを行ったからだ。このような部門を買収したとき、自行の株主が納得するような将来戦略を示せるのか。今のままでは、最終的に買い手がつかない、という事態も起こりかねない。

シティグループとしては、12年10月のマイケル・コルバット氏のCEO就任後、世界各地で個人向け事業を売却している。今年6月にはスペインとギリシャで売却に合意した。韓国でも昨年以来、店舗閉鎖と人員削減を進めている。日本におけるシティ銀・個人部門の売却も変わらぬ方針とみられる。今後は低い水準の価格で妥結点を探る展開となりそうだ。

「週刊東洋経済」2014年9月27日号<9月22日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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