シティバンク銀行、"熱気なき"邦銀の応札 個人金融部門売却の行方はいかに

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この結果、超富裕層向けのプライベートバンク業務から撤退。現在の顧客層は「資産数億円以上の超富裕層はほとんどおらず、数千万~1億円程度の小リッチが多い」(シティ銀関係者)。こうした層であれば、すでに大手銀行が取引をしている可能性があり、新たな富裕層顧客はさほど増えないかもしれない。

外貨預金が流出する懸念

シティ銀が持つ1兆円規模の外貨預金は、海外展開を加速する国内メガバンクには魅力に映る。ドル建て融資を増やすため、市場でドルを調達しているが、外貨預金なら、より低コストでドルを融資に回せるからだ。

三菱東京UFJは9月8日に米ドル建て社債を計5本発行し、45億ドルを調達した。3年物の金利は2.35%。単純比較はできないが、シティ銀の米ドル外貨預金で調達できれば金利は0.92%で、1%以上低い。預金は満期になっても継続して預ける人が多く、銀行にとって安定した調達源となりうる。

が、こうした外貨預金は、買収後も残るのか。シティ銀を利用する個人の多くは、世界約200カ国、約190万台のATM(現金自動出入機)で、現地通貨による引き出しができることにメリットを感じている。シティグループから離れてしまえば、こうしたネットワークは使えなくなるだろう。邦銀が買収した場合、外貨預金の多くは流出してしまう懸念が強い。

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