副都心拠点を拡大する三菱地所の2つの狙い

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副都心拠点を拡大する三菱地所の2つの狙い

サンシャインシティの子会社化には、短期および中長期的な視点での拡大戦略が見え隠れする。
(週刊東洋経済2月16日号より)

 三菱地所は4日、関連会社であるサンシャインシティに対してTOBを実施、子会社化すると発表した。買い付け期間は2月5日から3月13日、買い付け代金は約138億円。現在、サンシャインシティに対する持ち株比率は32・2%、これを上限60%まで増やす予定だ。

 サンシャインシティは新都市開発センターが「旧巣鴨プリズン」跡地に建設、1978年に開業。当時から三菱地所は一貫して筆頭株主。その意味で今回のTOBはいささか唐突な印象がある。

 背景には短期と中長期の二つの狙いが見える。短期的には収益の底上げ効果だ。サンシャインシティの前2007年3月期業績は売上高280億円、営業利益77億円をはじき出している。一方の三菱地所は、次の大型ビル竣工が「丸の内パークビル」の09年4月と当面先。マンション分譲に逆風が吹き出したこともあり、5期連続増益(営業利益ベース)を続ける同社とはいえ、この勢いを来期も楽に維持できるとは言い切れない。このため昨年12月に藤和不動産を、そして今回サンシャインシティを連結化。この2社合計で、250億円強の営業利益が上乗せされる計算になる。

 中長期的な狙いは丸の内一極集中からの転換だ。同社の保有ビルは丸の内周辺に集中立地しているだけに、手薄だった副都心への拠点拡大は今後の成長には不可欠。昨年、初めて新宿の大型開発を決定したのもそのため。今後は池袋も重要な拠点にする戦略だ。
(週刊東洋経済:日暮良一 撮影:風間仁一郎)

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