「交通費がなくて動けないです」。市民団体などでつくるネットワーク「新型コロナ災害緊急アクション」に1通のSOSメールが送られてきた。送り主は沖縄出身のユイさん。携帯は料金未納で通話ができず、所持金は1000円を切っていました。彼女は厳しい状況に陥った理由とは――。
コロナ禍で支援を求める若者たちに取材すると、ある共通点が浮かび上がってきました。元派遣労働者で、今年5月に雇い止めに遭い、一時は路上生活を送っていたツトムさん(38歳)にも後悔があります。
大学や専門学校で勉強をする若者たちが本当に厳しいことになっています。とくに自宅外通学の大学生の貧困状態が深刻なのですが、この数年間は裕福な家庭に育っていても、困窮状態に陥る学生が増えています。いったい、どういうことなのでしょうか。
かつて「一億総中流」と呼ばれた日本社会に階級性があることを、データを用いて指摘したのが、早稲田大学教授の橋本健二さんです。では、コロナ禍で最も経済的な打撃を受けたのは誰なのか、格差の状況はどうなったのか。橋本さんが調査したところ、驚くべき実態が見えてきました。
自分の仕事のスタイルや働く時間や場所を自由にしたいと選択する若者の受け皿となっているのが、飲食宅配大手のウーバーイーツなどに代表される、インターネットを通じて単発の仕事を請け負うギグワークです。国が昨年実施した「フリーランス実態調査」によれば、約3割を30代までの若者が占めます。ところが、ギグワークには大きな落とし穴があります。
「ギグワーク」の実態は「個人請負」であり、事実上の無権利状態に置かれているなど、問題点が山積しています。同様の問題が発生している諸外国では、すでに対策も進められつつあります。ギグワークの法的な問題点について、日本の労働問題に加え、海外事情にも詳しい東京法律事務所の菅俊治弁護士に聞きました。
日本でも広がっているギグワークですが、配車サービスのウーバーやリフト、買い物代行のインスタカート、料理宅配のドアダッシュなどが本社を置くアメリカでは、非常に大きな労働問題となっています。ギグワーク先進国であるアメリカの実情に迫ります。
日本における貧困問題の解消に向けて、大きなネックになっているのが「住まい」です。家がないと、履歴書に書く住所がなく、求職活動が難しくなります。ところが、低所得者にとっては敷金、礼金などの初期費用の高さが壁となり、ネットカフェや脱法ドミトリー(相部屋の格安宿泊施設)などに流れてしまうケースも少なくありません。
貧困問題を解決する方法の1つとして、「ハウジングファースト」を掲げるのが、生活困窮者の支援の最前線に立ち続ける稲葉剛さんです。2014年に「一般社団法人つくろい東京ファンド」を設立し、アパートの空き室などを団体で借り上げ、住まいに困っている人に一時的な宿泊場所として提供する個室シェルターの事業を行っています。日本が抱える「住まいの貧困」について、稲葉さんに聞きました。
近年、障害や病気のある家族などの介護を主に担う18歳未満の人々、いわゆる「ヤングケアラー」の存在が、徐々に社会的な注目を浴びるようになってきていますが、ヤングケアラー以上に認知度が低いのが、18歳からおおむね30代までの介護者である「若者ケアラー」です。進学や就職に際し、収入に直結する選択を迫られる時期に介護を担わなければならず、大きな負担を強いられています。
日本の格差、貧困を議論するうえで、よく名前が挙がるのが竹中平蔵氏です。小泉政権下で構造改革を推し進め、2004年の製造業への派遣解禁など、非正規労働者を拡大した政策の旗振り役とされています。では、竹中氏自身が若者の貧困をどう捉えているのか、本人を直撃しました。
「格差社会や気候変動の根本原因は資本主義にある」と指摘し、晩年マルクスの思想を援用し「脱資本主義」「脱成長」を説く斎藤幸平さん(34)。マルクス研究における最高峰の賞「ドイッチャー記念賞」を日本人初、史上最年少で受賞した気鋭の経済思想家は、同世代や近い世代の若者の貧困をどう見ているのでしょうか。斎藤さんに解決策を聞きました。
コロナ禍や社会構造の変化によって生活に困窮する若者たち。実際に貧困に陥った場合に頼れる制度について、若者の格差・労働問題に取り組んでいるNPO法人POSSEの代表理事である今野晴貴さんが解説します。
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