住まいの貧困はコロナ以前から広がっていた
――コロナ禍で「住まいの貧困」の実態はどうなっていますか。
新型コロナ以前は25室だった個室シェルターを56室まで増やしましたが、つねに満室状態です。コロナ禍で大きく変わったのは、10~20代の相談が珍しくなくなったこと。コロナ前はほとんどが中高年の単身男性でしたが、いまは17~18歳から上は70代まで、老若男女の方に個室シェルターをご利用いただいています。
われわれと連携しているNPO法人の「TENOHASHI(てのはし)」は池袋で炊き出しをしていますが、11月上旬には集まる人が430人を超えました。
これは、リーマンショック以来のことで、その中には多くの若者も含まれます。コロナで打撃を受けた飲食店をはじめとする対人サービス業に従事していた方が多く、性風俗やキャバクラなど「夜の街」関連で働いていた方も目立ちます。
ただし、間違えてはいけないのは、コロナ以前から住まいの貧困は広がっていたことです。2014年にビッグイシュー基金で若者の住宅問題に関するインターネット調査(対象は首都圏と関西圏に住む20~39歳、未婚、年収200万円未満の個人)を実施したところ、6.6%が定まった住居をもたず、ネットカフェ、マンガ喫茶、友人の家などで寝泊まりしていた経験をもつと回答しています。
中でも親と別居している若者の13.5%が定まった住居がない、つまり広い意味でホームレス状態を経験したことがあると答えました。
東京都が2017年に実施した調査でも、住居がなくネットカフェなどを寝泊まりするために利用している人が4000人いて、その半数が20~30代の若年層だとわかっています。もともと若年層の間で住まいの貧困は広がっていたんです。それが最初の緊急事態宣言のときに、ネットカフェに休業要請が行われて、可視化されたと考えています。
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