最大の問題は「あらゆる労働法規の脱法」
――台頭するデジタルプラットフォーム型ビジネスなどでサービスを提供する「個人請負」という働き方にはどんな問題があるのでしょうか。
最大の問題はあらゆる労働法規の脱法だ。委託された業務に対して報酬が支払われる形式のため、時間外、休日、深夜労働手当などはつかない。また最低賃金の保障や解雇規制もなく、職を失っても失業保険が使えない。
そのため、実態としては継続的な労務提供がなされているにもかかわらず、プラットフォーマー側の一存で、いつでも「アカウント停止」とされて仕事を失うリスクがある。報酬体系もブラックボックス化が進み、かつ一方的で著しい不利益変更がなされるケースもある。
さまざまなプラットフォーム型ビジネスが、コロナ禍で急拡大した。各プラットフォーマーとも立ち上げ期こそは、働き手の確保と囲い込みのために高い報酬を約束するなど好条件を提示するが、一定の寡占的なポジションを確保すると手のひらを返すように条件の切り下げへと転じている。
とりわけ最近問題となっているのが、収入維持のために相当無理して長時間労働を余儀なくされている人が増えている点だ。長時間労働による過労に伴う事故も発生している。労災保険も適用されず、また事故相手への補償も個人請負の自己責任が問われる場合すらある。
多くの場合で労働法が適用されるべきにもかかわらず、未解決、未整理のまま放置されているというのが日本の現状だ。
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