孫に「何でも買い与える義母」スルーしていい理由 児童精神科医が子育てに悩む親へ伝えたいこと

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このお子さんの心のうちには、「自分より妹のほうが親に愛されている」という思いがあるのではないでしょうか。「2人きょうだい」に顕著なのですが、上の子は「自分は下の子ほど愛されていない」と思いがちです。下の子が生まれるまでひとり占めしていた親の愛情を、下の子の誕生によって半分、いえ、本人にしてみれば「ほぼすべて」奪われてしまうという経験をするからです。

このお子さんも、4才ごろから「ひとりで暮らしたい」と言い始めたのですね。おそらく下の子に親の愛情をとられてしまったと感じ、その不安感がこのような言葉で表現されたのではないでしょうか。

いまからでも遅くはありません。「あなたが大事」「あなたが大好き」というお母さんの思いを、どうぞ上の子に伝わるように届けてください。

「今夜は何が食べたい?」と聞いてみよう

いちばん簡単で伝わりやすいのは、食べ物です。上の子に「今夜は何が食べたい?」と聞いてみてください。思い浮かばないようであれば「スパゲティとオムライス、どっちが食べたい?」と選ばせるのもいいですね。おやつも喜びますよ。「あなたの好きなシュークリームを買ってきたよ」というように、この子の好物を買ってきてあげるのです。

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子どもというのは、たったそれだけのことがうれしいのです。「親に愛されている」と伝わるのです。あまりにささいなことなので親はつい忘れてしまうのですが、それを丁寧に繰り返してみてください。

小学生になったら、「親は後ろから見守るのが当然」というわけではありません。この子はまだ、その段階に来ていないと感じます。寄り添って、支えて、あなたが大好きだよと何度も繰り返し伝えて、「うちがいちばんいい」「親のそばが安心だ」と思わせてあげてください。お母さんにたっぷり甘え、時には反抗し、その気持ちをしっかり受け止めてもらった先に、この子の本当の「独立」があるのだと、わたしは思います。

佐々木 正美 児童精神科医

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ささき まさみ / Masami Sasaki

1935年群馬県前橋市生まれ。新潟大学医学部医学科に編入学し、1966年同校を卒業。その後、東京大学で精神医学を学び、同愛記念病院に勤務。1970〜1971年にブリティッシュ・コロンビア大学に留学、児童精神医学の臨床訓練を受ける。帰国後は、国立秩父学園、東京大学医学部精神科に勤務後、小児療育相談センター(横浜市)、横浜市南部地域療育センターで児童臨床医として地域ケアに力をそそぐ。川崎医療福祉大学特任教授(岡山県)、ノールカロライナ大学非常勤教授、横浜市総合リハビリテーションセンター参与などを歴任。著書に『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。2017年没後も、そのメッセージは多くの親たちを励まし続けている。

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