孫に「何でも買い与える義母」スルーしていい理由 児童精神科医が子育てに悩む親へ伝えたいこと
祖父母と親とでは、子どもを育てるときの思いや姿勢が確かに違いますね。ママがダメというものでも、おばあちゃんなら買ってくれる。パパなら怒ることでも、おじいちゃんはしからない。そのような、しつけの方針の違いはままあることです。
一見、親と祖父母は矛盾しているようですが、子どもが健全に育つためには、どちらも必要なことなのです。
幼い子どもを育てる過程には、禁止したりしかったりする場面は必ずあります。しつけそのものは必要なことなのですが、子どもの自尊心を傷つけるという側面があります。傷ついた自尊心を回復させてくれるのが、「いいんだよ」と認めてくれる祖父母の存在です。この、別な価値観をもつ存在が大事なのです。
子どもの幸せに必要な「2つの視点」
親には、子どもの「将来の幸せ」を願う気持ちが強くあります。とくに日本の親は、将来のためにしっかりしつけをしようとか、勉強させようとか、そういう気持ちが他国の親に比べ、とても強いですね。それに対して祖父母は、「いま、目の前にいる孫を幸せにしたい」と思う気持ちが強いのです。だから、「むし歯になったら困る」などとは考えずにお菓子を与えます。
子どもの幸福のためには「将来」と「現在」、その両方の視点が必要です。しかし「将来」を考える親は、現在の幸福を犠牲にしがちです。そのゆがみや偏りを、祖父母が是正してくれているのだと思ってはいかがでしょう。
たとえばの話ですが、わたしがいつも親から「チョコレートを食べたらすぐ歯みがきしなさい」と言われていたとします。親の言うことは聞くけれど、きっととてもめんどうでしょう。チョコを食べる意欲を失うかもしれません。そんなとき、おばあちゃんが「ママにはないしょだよ」とチョコレートをこっそり食べさせてくれたらうれしいでしょうね。でも、わかっているんですよ。これは「たまに」だからいいんだと。
家と外とではルールが違うということを、子どもは理解しています。3才でもわかります。お母さんは「なぜ家ではジュースを飲ませないのか」という自分の価値観を穏やかに伝えればいいのであって、おばあちゃんを否定したり、引き合いに出したりする必要はありません。同様に、お母さんがおばあちゃんの価値観に迎合する必要もありません。
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