孫に「何でも買い与える義母」スルーしていい理由 児童精神科医が子育てに悩む親へ伝えたいこと
この子は「独立心旺盛」でしょうか。わたしはまったく逆だと感じました。お母さんに甘えたくてたまらない子です。妹のほうがお母さんにかわいがられているように思えたのでしょう。自分の気持ちをわかってほしくて、でもそれを言葉で言えなくて、態度で示そうとして家を飛び出したのです。それなのに、お母さんは15分もたってから迎えにきたんですね。この子は外階段の下で、ぬれた髪のまま、お母さんを待っていたのです。その気持ちを考えずに、「独立心」という言葉で納得してはいけません。
ご心配していらっしゃるように、家に戻らず友達の家を泊まり歩く「家出少女」たちも、根っこは同じです。けっして独立心が旺盛なのではなく、自分にもっと目を向けてほしくて、家を出るという極端な行動に出ているだけです。
子どもが本当の意味で自立するためには、家庭に十分なやすらぎと安心を感じる必要があります。イギリスの乳幼児精神科医ウィニコットはこう言っています。
「幼い子にとって母子分離なんてものはありません。お母さんとの関係で十分な安全感(守られているという安心感)を得て、その安全感を持ち歩くようにして、親から少しずつ離れていくのです」と。
子どもは誰しも、新しい世界に出ていくことにおびえと不安を感じるものです。けれど、お母さんへの信頼をしっかり実感できれば、それを安心材料のようにして外の人とのつながりがつくれるようになるのです。
外でいきいきするのは「帰る家のある子」
たとえば不登校の子が学校に行けるようになるのはどんなタイミングかというと、自分の親との関係がよくなり、家庭が本当の意味で居心地よくなったときなのです。外でいきいき活動できる子というのは、帰る家のある子です。子どもは、居心地が悪いから家を出ていくわけではありません。居心地のいい家庭で十分エネルギーをため込むことができたから、自信をもって家を出ていけるようになるのです。逆に言えば、親に不安感をもっているうちに親から離れることほど、危ないことはありません。
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