「SDGsとビジネス」両立させた女性が続けてきた事 商品化できるようになるまで10年かかった

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工場ができて働く場所ができたことを、多くの村の人たちが喜んでくれている(筆者提供)

今でこそ、素晴らしい商品を作ってもらえるようになりましたが、商品化できるようになるまでは10年かかりました。

インドからは何年もガタガタのサンプルが納品されてきました。彼ら彼女らがどんなものならつくりやすいかも知らないので、わたしたちがいくら頭をひねってデザインしても、まったく異なるテイストで仕上がってくることもしばしばです。それ以上に、そもそも段ボールを開けると変な虫が出てくるやら、ザラザラした砂やら埃やらでいっぱいで、スタッフの目がかゆくなったり、くしゃみが止まらなくなったりと、とにかくすごい状態だったのです。

「やっぱりお金をドブに捨てているんやろうか……」そう何度も思いましたが、それでも日本のスタンダードに合わせるためには、ひたすら訓練しなければなりません。そして当然、賃金を払う必要だってあります。ただで働かせるわけにはいきません。 

見えるかたちで伝える

言葉だけでなく、どれだけ思っているかを見えるかたちで伝えることは、特に長く一緒に歩んでいく相手には欠かせないことではないでしょうか。どうしたらうまくいくのか。考えに考えて、日本のスタッフのデザイナーが、失敗した箇所に対してひとつずつ、絵でわかる修正の指示書をつくって送り返し、トライアル&エラーを繰り返して、「いつかはしっかりしたものが来るはずだ」と信じて、書いては送り、届いては書くことを続けました。

でも、指示したことができるようになったかと思えば、新たな失敗をするので、きりがありません。覚悟してはじめた事業でしたが、しっかりした品質のものをなかなかつくることができませんでした。

続けられたのは、相手との信頼関係と、商品をつくる過程で生じる紆余曲折などの「ストーリー」は、わたしと相手でしか紡ぎだせないものだからです。それは、真似しようにも真似ができないものです。そして、苦労すれば苦労するほど、「ストーリー」が魅力的になってくる。だからこそ、開発途中に大変なことがあっても、これで「ステキなストーリー」になるかもと考えられて、前向きになれたのです。

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