「SDGsとビジネス」両立させた女性が続けてきた事 商品化できるようになるまで10年かかった

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ただ、事業としてインドの人たちと仕事をして、今までにないアクセサリーを生み出したかっただけです。事業を成長するためだからこそ本気になったし、だからこそ、ここまで続いてきました。自分の事業を真ん中においたSDGsこそが、本当に持続可能なSDGsだと私は考えます。

Win×Winの関係こそ本当のSDGs

SDGsっていわれても何をすればいいの?と思われるかもしれません。しかし、そんなに難しくありません。簡単に言えば、産業が育っていない場所の人たちと一緒に、自分の会社の強みとその地域の強みとを掛け合わせた、新しい事業を生み出す。そうすれば、それがSDGsになります。

「MAYGLOBE by Tribaluxe」のアクセサリーは、インドの大都市・デリーから車で2時間ほど行った北部にある、伝統工芸技術を受け継いできた村々との協働でつくられています。

インドの村で作られた「MAYGLOBE by Tribaluxe(メイグローブ バイ トライバラクス)」の商品(筆者提供)

刺繍が得意な村、編み物が得意な村というように、それぞれの村に代々伝わる伝統工芸の技を活かして、当社でデザインしたものを手先が器用で技術のある職人たちが丁寧に1つひとつ手づくりします。一般的な金属をベースにするのではなく、生地を使っているため軽くて着け心地がいいこのアクセサリーは多くの人に好評をいただいています。

新しい事業を進めてきたいと思ってはじめた事業だったのですが、想定していなかったことが起きました。それは、インドでのビジネスを通じて現地の女性たちと触れ合い、彼女たちの生活水準の向上にも貢献できたことでした。村では女性たちが手工芸で家計を助けていますが、村のインフラはまるで整っておらず、みんなとても貧しい生活を送っています。それでも彼女たちはいつも明るく、毎日たくましく暮らしていました。そして現在では、日本市場向けの製品をつくるために多くの職人たちが活躍し、産業の少ないインドの村の生活水準の向上につながっています。

現地に行くと、自分たちの技術で生活がよくなることを誇りに思ってくれている様子が伝わってきます。わたしたちも、自分たちのためにはじめた仕事をとおして彼女たちの役に立てていることがとても幸せで、これからも楽しんで、一緒に仕事を続けたいと思っています。やはり、つくる側も仕入れる側も幸せであることがなにより大切なことではないでしょうか。

次ページ苦労して実現したSDGsこそ、唯一無二の強味になる
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