子供が「親と違う人生」を送れば幸せになれる訳 ライフシフトを支援しない企業は生き残れない
リンダ:そう、日本では人材の争奪戦が行われていることを忘れてはいけません。パンデミックでは、あらためてそのことが明らかになりました。
企業経営者の皆さんは、若い人を惹きつける方法を見つけなければなりませんし、彼らを引き留める方法も見つけなければなりません。通信、医療、ITなどあらゆる分野で、柔軟な働き方の実現に向けた実験を行っている企業もあります。
私たちがパンデミックから学んだことの1つは、仕事のやり方においてテクノロジーがいかに重要かということです。6万人を在宅勤務にした富士通で生産性が変わらなかったなんて、誰が想像したでしょうか。
すべての人が自宅で仕事をするようになるとは言いませんが、私たちは変化に対してより積極的になっていると思います。自分たちが手にしたテクノロジーが、働き方を変えるのに役立つと気づいたからです。
会社第一主義から、個人第一主義へ
平野: 3ステージの時代では「会社第一主義」でしたが、今は「個人第一主義」に変わりつつあるように思います。以前は、個人は会社の一部でした。今では、それぞれが自分のストーリーを持っているので、「会社は個人の一部だ」と感じるようになっています。
だからこそ、企業は変わらなければなりません。日本の伝統的な企業にとっては、パンデミックを経験することでマインドセットを変えることができるので良かったと感じています。
私は、大きな変化というものは3つの段階に分かれて起こると思っています。第1段階では、何かが変わろうとしているということに気づく。第2段階では、実際に何か大きなことが起こる。そして第3段階では、劇的な変化が生じる。
たとえば今回のパンデミックの場合、最初の段階では、在宅勤務が効率的かどうかで意見が分かれたかと思います。第2段階としてパンデミックが続き、第3段階で、人々は従来のやり方を変えざるをえなくなり、実際に変えました。
そして、今は生き方が変わろうとしています。
日本の伝統的な企業は、何かが変わりつつあることをなんとなく理解しているものの、まだ何もできていません。しかしマインドセットを変えるような劇的な変化は、変革の大きなステップになります。