子供が「親と違う人生」を送れば幸せになれる訳 ライフシフトを支援しない企業は生き残れない
私たちの真の望みは、『ライフ・シフト2』が、実際に社会を動かすきっかけになることです。コミュニティを作ることは、政府の社会政策を変えるという意味でも、企業を変えるという意味でも、非常に重要になってくるのです。
誰もがもっと柔軟な働き方を求めている
もしある企業が、子供と過ごす時間がないという理由で優秀な人材を失っていることに気づけば、その企業は方針を変えるでしょう。だからこそ、より多くの人に集まってもらい、この試行錯誤(実験)の時期に、自らが望むものを企業に伝えてほしいのです。
平野未来(以下平野):若い世代にチャンスが巡ってきているように感じますね。私は会社のCEOをしていますが、就職希望者との面接では、「あなたの会社はどんなパーパスを持っていますか」と聞かれたりします。
まるで私が面接を受ける側になったかのようですが、就職希望者が企業を判断しているわけです。彼らは自分の時間をどの会社のために費やすべきなのかを考えています。
リンダ:それは若い世代だけではなく、世界中のあらゆる年代で起こっている現象だと思います。どの年代の人も、もっと柔軟な働き方をしたいと思っていたはずなのに、それを求める勇気がなかったのではないでしょうか。しかし今のような社会変化の局面では、人々は勇気を持つのではないかと思います。
マルチステージの時代の「年金」とは
――『ライフ・シフト2』では、日本の長時間労働が大きな問題になっていることが書かれています。この問題は個人レベルではどうにもならないと強く感じています。ライフシフトのための時間を確保し、社会的開拓者となり、やりたいことをやるには人々は何をすればよいのでしょう。
アンドリュー:企業にも変革が求められているでしょう。従業員を大切にしているからこそ変われる企業もある一方、そうでない企業もありますから、政府による規制の役割も重要になってくるでしょう。
特に日本では、出生率も非常に低く、人口が減少していきます。企業は「労働者の生産性を維持し、労働者を引き留める必要がある」と考えるようになる。それにより、私たちの仕事のやり方も変わり始めると思います。
従来型の3ステージの人生において、第2ステージの重要な役割の1つが、年金の準備でした。つまり引退後の第3ステージで生活を支える金融資産を蓄えるということです。