コロナ禍に最高益「無印」人気商品が次々出せる訳 ヒットは「つくる」ではなく「探す、見つけ出す」

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一方、日本でも、例えば下着を室内に干す人は多いですし、梅雨時や冬はどこの家庭も室内干しが多くなります。日本にもニーズがあるはずです。

そこで、素材を錆びずにリサイクルしやすいアルミ製にして開発しました。ピンチはポリカーボネートでできているのですが、無印良品では派手な色を使わないので、乳白色か透明につくるしかありません。これが実はネックでもありました。

一般的なピンチハンガーはピンチに黒や赤、緑といった色が入っています。これは、色をつけるための顔料は紫外線を通しにくく、ピンチが劣化しづらくなるというメリットがあるためです。逆に、色をつけなければ紫外線を通すので、劣化しやすくなります。とはいえ、やはり無印良品の商品に強い色を使うわけにはいきません。

長く使われるものには「理由」がある

そこで、ピンチは取り外しができるようにして、もし劣化してしまったら別売りのピンチと取り替えられるようにして商品化しました。

『無印良品の教え 「仕組み」を武器にする経営』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

こうして開発された商品は、日本だけではなく、海外でも人気があります。このことからも、やはり長く使われているものは、それなりの「理由」や「愛される力」があるのだとわかります。

それをいかに探し出し、アレンジするかが、無印良品が海外で競争力を持つための課題なのです。

誕生時代のファウンド・ムジと今のファウンド・ムジは、少し中身が違ってきています。どこのメーカーでも真似してつくれるレベルの商品では、時代に置いていかれてしまうと感じます。どこまで〝深く〟入り込んでいけるかが、これからの「見出す力」には必要でしょう。

細かく深く入れば入るほど、商品群のレベルは上がっていきます。そして、そういうものが全世界で受け入れられていきます。というより、受け入れざるをえないはずなのです。

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