コロナ禍に最高益「無印」人気商品が次々出せる訳 ヒットは「つくる」ではなく「探す、見つけ出す」
それぞれの国や地域で、ずっと長くつくられているもの(使われているもの)は、全世界どこへ持って行っても受け入れられます。そういうものを見つけ出すのがファウンド・ムジの使命です。
例えばベトナムの農村に行くと、ノンラーと呼ばれる三角の藁でできた帽子をかぶり、木の皮や草で染めた農民服を着た人たちを見かけます。その農民服を洗練されたデザインにアレンジすることで、ファウンド・ムジの商品に生まれ変わりました。
中国の家庭で古くから使われてきた木のベンチを見つけたときも、「これはファウンド・ムジではないか」と担当者のアンテナが働きました。何の変哲もないベンチですが、それこそ“何物にも代えられる”可能性を秘めていると感じたのです。
そこで、元々は雑木でつくられていたベンチを、丸太から切り出した無垢材を使うことで強度を高めて、ファウンド・ムジの商品としてリニューアルしました。このベンチは食卓用の椅子として使うこともできれば、庭でも使えますし、上に小物を置くインテリアとしても使えます。
景徳鎮の焼き物から模様を省いてシンプルに
中国には1000年以上前からある景徳鎮という窯場で生産された焼き物があります。景徳鎮の焼き物は青や赤で龍や花などの優美な模様が描かれていますが、無印良品にそれは必要ない。模様を省いて、シンプルにビシッと白磁だけでつくると、無印良品のコンセプトに合った商品になります。
カレーを入れるステンレス製のポットは、担当者がインドの金物街を隅から隅まで見て回って見つけた一品です。少し縁があって、ふくらみのある独特なデザイン。これはインドのポット特有の輪郭だそうです。
日本だとおそらく取っ手をつけて持ち運びしやすくするでしょう。調理したての食べ物を入れたら、熱くて持てなくなりそうです。
しかし実は、取っ手をつける文化は世界的にも少ないといいます。インドの人は、できたての熱いカレーを入れた取っ手なしのポットを、やすやすと持ち運んでいます。
なぜそのようなことができるかというと、そのポットは、中が二重構造になっているからです。空洞部分に空気の層があるので、熱さが直接ポットの外側に伝わってこないように工夫されています。
このポットは完成度が高いので、デザインのアレンジ案をいろいろと考えてみましたが、オリジナルを超えるものはできないという結論になり、そのままつくることにしました。もちろん、このポットはカレー以外の料理を入れるときにも使えますし、水を入れて花を浮かべてインテリアとして使うのにも最適です。アクセサリー入れに使っている方もいるようです。
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