コロナ禍に最高益「無印」人気商品が次々出せる訳 ヒットは「つくる」ではなく「探す、見つけ出す」

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このように世界各地のいいものを見つけるうちに生まれたのが、大ヒット商品の「足なり直角靴下」です。これは、チェコに住んでいた方から、「近所のおばあちゃんが編んでくれた、かかとが直角になっている靴下がすごい!」という情報が寄せられたところから話が始まります。

一般的に売られている靴下のかかとの角度は120度です。これは、機械で量産できる靴下のかかとの角度が120度であることと、折り畳んだときにキレイな形になるように、ということから決められているのだそうです。

一方、チェコの靴下を実際に取り寄せてみると、確かに、かかとの部分が90度になっています。そして、足のかかとと同じ角度になっている靴下を穿くと、かかとがすっぽりと収まるのでずれにくく、穿き心地がいいとわかりました。

しかし、靴下メーカーの人にその靴下を見てもらっても、どうつくればいいのか見当がつきません。そこで、靴下を編んだチェコのおばあちゃんの娘さんに日本に来てもらい、編み方を伝授してもらいました。教わったことをもとに、編み機と素材を開発し、ようやくファウンド・ムジ流の靴下が生まれました。

ちなみにこの商品は、2006年から2014年までで累計4500万足を売り上げるロングセラー商品となっています。

ほとんどの先進国は洗濯物を外に干す習慣がない

洗濯物を干すための半円形のピンチハンガーも、フランスの蚤の市で発見したものをもとに開発した商品です。実はほとんどの先進国には、洗濯物を外に干す習慣はありません。洗濯物は乾燥機である程度乾かしてから、室内に干すことが基本です。

とくに欧米では、洗濯物を外に干すのは低所得者層のすることだというイメージがあります。景観を損ねて不動産の価値が下がるという理由で、外干しを禁止している地域もあるようです。確かにアメリカのドラマや映画を観ていても、高級住宅地では庭がものすごく広くても、物干し竿はありません。

そうした事情もあり、洗濯物を室内の壁にかけて干すときに便利なように、海外のピンチハンガーは半円形になっています。円形だと、壁際にピッタリと収まらないのは言うまでもありません。

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