無印「売上高3兆円」へ食品が大変貌遂げるワケ 「毎日使う商品」の開発、価格見直しも本格化
「第二創業」「企業理念を再定義」――。7月21日、「無印良品」を展開する良品計画が発表した中期計画には、新たな成長に挑戦するという同社の決意がちりばめられていた。
中期計画では年間の店舗純増を国内100店(2021年8月期見込みは純増16)、中国で50店(同28)に拡大。既存店売上高前年比2%増を前提に、2024年8月期に売上高7000億円(2021年8月期予想4900億円)、営業利益750億円(同490億円)を目指す。この計画自体は、すでに出店拡大方針が示されていたこともあり、それほど驚くべきことではない。
「日常生活の基本を担う存在になる」
目を引くのは、「2030年に実現したいこと」だ。無印良品が衣食住の各分野で日常生活の基本を担う存在になる。さらに地域課題の解決に貢献する存在となり、地域への土着化を図る。そうして2030年8月期に売上高3兆円、営業利益4500億円を目指すという。
売上高3兆円は、現在の小売業トップのセブン-イレブン・ジャパン(チェーン全店売上高4.8兆円)には及ばないが、同2位のファミリーマート(同2.7兆円)、カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(連結ベースで約2兆円)をしのぐ規模になる。そしてそれを達成するには、今後9年間で毎年平均2割以上の売り上げ成長が必要になる計算だ。
無駄を省いて消費者に必要なものを提供する。無印良品は独自の商品開発で存在感を示してきた。そうした経緯もあり、同社の社員は皆、「数字ありきではない」と口をそろえる。とはいえ、ここまで意欲的な目標を公言することはこれまでなかった。どうやら良品計画は、本気で「日常生活の基本を担う存在」になろうとしているようだ。
変化はすでに始まっている。それを体現するのが、同社の食品部門だ。食品部門を率いる嶋崎朝子執行役員は、「すでに目指すべき方向に動き始めており、中期計画に改めて具体策が示されただけ」と語る。
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