コロナ禍の「人付き合いの整理」しすぎに注意 人間関係はつねに「ほかの居場所」が必要だ

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コロナ禍において人間関係の整理を大幅に行い、コミュニティーを狭めてしまう傾向がみられ、その弊害が顕著になっています(写真:タカス/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ®」の大野萌子です。

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コロナが長引く中、若い方を中心に、孤独感・孤立感を訴える相談が増えていると実感します。最初の緊急事態宣言の前後、オンライン業務が始まり、人との付き合いに距離をとるようになった当初は「嫌な上司と顔を合わせずに済んでラッキー」「面倒な誘いを断る大義名分ができた」とウェルカムな声が多かったのですが、そのすぐ後の2020年の夏ごろからは、精神的な居場所がない、人とのふれあいの機会を持てないことへの焦りや不安を訴えるケースが増えてきました。

そうした思いを抱えつつも、一方では、コロナ禍において「家から出たくない」「外出しないで済むならそうしたい」という思いもあり、人間関係の断捨離を大幅に行い、すっかりコミュニティーを狭めてしまう傾向もみられました。その弊害が、このところ顕著になっています。

1人で生きていくことはできない

人との関わりを断ってしまうと、最初は楽かもしれませんが、じわじわと孤独感や孤立感につながります。なぜなら、私たちは1人で生きていくことができず、社会とつながっていることで、自分という実態を確認していくからです。孤独を訴える人から「人とあまり深く関わらない日々を過ごすうちに、自分が今何をしているのか、何を考えているのかがわからなくなり、怖くなった」という相談を受けることもしばしばあります。

また、限られた閉鎖的なコミュニティーに身を置くと、知らず知らず、考え方や感じ方が偏ってきて、それが唯一無二のような錯覚に陥り、柔軟性を失うことによって生きづらさにもつながるのです。自分が楽だと思う、ごく限られたコミュニティーの人間関係があればそれでいいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、どんなに居心地のよい関係でも、波風が立つことはありますし、そもそもストレスのない人間関係は存在しません。

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