日本人の体を壊す「隠れ糖質」とりすぎの深刻盲点 「添加物の魔力」で…あなたと家族は大丈夫?

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このように、かなりの糖類が入っているのに、清涼飲料水には「糖類」(あるいは「糖質」)という表示がありません。書いてあるのは「炭水化物」です。

先に述べたように「炭水化物=糖質+食物繊維」です。野菜ジュースや一部の機能性飲料などを除けば、一般的な清涼飲料水にはほとんど「食物繊維」は含まれません。また「でんぷん」も含まれないので、この場合「炭水化物=糖類」と考えて差し支えないと思います。

しかも表示されているのは「100ミリリットル当たり」の栄養成分です。たとえばある清涼飲料水の表示は「炭水化物15グラム、脂質0グラム、食塩相当量0グラム、エネルギー60キロカロリー」となっています。

これは100ミリリットルの量ですから、500ミリリットルのボトル1本に含まれている量を出すなら、これに5を掛けて計算しなければなりません。この飲料の場合は、炭水化物(糖類)は1本(500ミリリットル)で75グラムとなります。

もちろん違反ではありませんし、野菜ジュースなどはメーカーが自主的に「炭水化物」と一括で書くのではなく、「糖質」と「食物繊維」を分け、さらに「糖質」の中に「糖類」まで明記している商品もあります。

今後は、こういう「消費者にわかりやすい栄養成分表示」が増えてほしいと思います。消費者にとっては「100ミリ当たり」ではなく「1本当たりの成分」「炭水化物ではなく糖類の量」のほうがわかりやすいのはいうまでもありません。

「おいしいご飯」のためにも「糖質オーバー」を避ける

私はもちろんこうした飲料を飲むことを頭から否定しているわけではありません。

食品や飲料は、単純に栄養を取り込むだけのものではありません。「のどが渇いたときにごくごく飲むおいしさ」「パーティなどでみんなで飲む楽しさ」もあるでしょうし、疲れをいやしてくれたり、眠気を飛ばしてやる気を起こしてくれたりと、メリットもたくさんあると思います。

それに、「糖質=悪者」では当然ありません、あくまで問題は「糖質のとりすぎ」です。

ただ、繰り返しになりますが、私が問題視しているのは、いくらお米などの主食を減らして「糖質」を制限しているつもりでも、「添加物のマジック」でぐいぐい飲めてしまう「普通だと飲めないような甘すぎる液体」を常飲することで、知らず知らずのうちに「糖質のとりすぎ」になっていることも少なくない、ということです。

私が常々言っていることですが、添加物には「毒性よりも怖いもの」があります。その1つが、「添加物の魔力」によって、普通だととれないほどの「糖分(糖類)」や「塩分」「油分」を、大量にいっきに摂取してしまうことなのです。

もし、こうした清涼飲料水を飲むならば、「1日の糖質摂取量」を気にかけていただきたいと思います。

「糖質のとりすぎ」は食事にも影響します。飲み物や間食で糖質をとってしまい、さらに食事でご飯やパン、麺類をとったのでは、完全な糖質オーバーとなってしまうのです。

『安部ごはん』では和食のレシピを102品掲載していますが、和食はご飯と汁もの、そしておかずという組み合わせが基本です。

やっぱりご飯を主食とする和食は、私たちの「ソウルフード」。お米のご飯なしの食事が続くと「どうも物足りない」という人はきっと多いはずです。私ももちろんその1人です。お米を極端に減らし続ける「糖質制限」は、なかなか続かず挫折する、あるいはすぐにリバウンドしてしまう、という人も少なくないようです。

だから私は、お米は適度にとりつつ、清涼飲料水などによる「糖類のとりすぎ」に気をつけたほうが、よほどうまく「糖質をトータルで減らすことができる」と思うのです。

ご飯をおいしくいただくためにも「隠れ糖質」にはぜひ注意していただきたい――「和食の素晴らしさ」を実感し、それを伝える人間として、私は強くそう思います。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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