池江璃花子の強い心を育てた「教育法の秘訣」 最後まで諦めない人に育てる「3つのポイント」

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目標としていたタイムを突破しても、優勝しても、私の言うことは同じです。ほめたのち、「まだできるよ」「まだまだ眠っている力があるよ」と励ます。言ってみれば、「暗示」です。

大人でも、「あなたならできるよ」と繰り返し言われると、「そうかも……」と思ったり、うれしい気持ちになったりしますよね。とくに小さな子どもたちは純粋なので、良くも悪くも暗示にかかりやすく、「できる」「できる」と繰り返せば、本当にできるようになることが多いのです。このようなポジティブな声がけやプラスの暗示は、子ども自身が自分の存在を肯定することにもつながるので、どの子にとっても必要なことです。

ポイント2:人に愛される人に育てる

次に、2つめの「人間力を育てること」についてです。3人の子どもたちを育てていたとき、「どんな子どもになってほしいか」と聞かれれば、迷わず「人に愛される人になってほしい」と答えていました。わが子が「〇〇くんと仲良くしたい」「〇〇ちゃんがいると楽しい」などと言われる人に育ってほしいと心から願っていました。

もちろん、子どもたちが、勉強を苦にすることなく、もっている能力を最大限に生かし、好きな道で優秀になってほしいとも思っていましたが、やはり最も大切なのは「子どもが幸せになる」ことでした。たしかに勉強で1番、スポーツで1番になることは目標の1つかもしれませんが、それが必ずしも「幸せである」とはいえません。たとえ1番になれなくても、人の役に立ち、たくさんの人に愛され、必要とされることが幸せである、と私は思うのです。

例えば、もしも、璃花子が、ほかの子よりも速く泳げることを自慢したり、タイムがいいことが偉いことだと勘違いしたなら、私はすぐさま水泳を辞めさせていたと思います。実際に、娘にもそう伝えていました。「水泳なんか、いつでも辞めさせるからね」。

ところが、私から「あの子より速く泳ぎなさい」「絶対に選手に選ばれるんだよ」とガミガミ言われたことのない娘は、いつの間にか水泳そのものを心から楽しみ、大好きになっていました。

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