靴底に穴があいた頃が自分の足になじんだ時--『紳士靴を嗜(たしな)む』を書いた飯野高広氏(服飾ジャーナリスト)に聞く

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--ファッションとしての靴の認識も弱かったのでは。

革靴は学校での制服の延長から始まる。制服とセットの管理ツールというイメージがまだ強い。だが、スニーカーに凝るように、スーツを着るに際してのドレスシューズがあってもおかしくない。どういうふうに靴を使ったら、その存在が生きるか。この本でそれを伝えたかった。

--「健康に履きこなす」知識として、足はどのような組織で構成され、どう動くか解説しています。

おしゃれな要素も確かに重要だが、足を守る、あるいは歩行を補助する機能もとても大切だ。最大限そのようなパフォーマンスを発揮するためには、自分の足はどうなっているか、どういう歩き方がいいのかを知っていれば、同じ靴でもそのもち方も違う。

店頭に並んでいる既成靴の中でベストフィットを選ぶには、選ぶ側にも工夫がいる。実際に履いてチェックするのが肝心であり、それも必ず複数のサイズで。足には「むくむ」時間帯があるし、靴下の合わせ方も考えるといい。

普通のビジネスマンは靴屋以外でも買う。たとえばディスカウントストアなら、専門の店員が対応してくれない場合もしばしばだ。

--外形の種類も多い。

私が今日履いてきたものは、一文字の愛称で親しまれるストレートチップ。これは冠婚葬祭時でも十分に役に立つので1足は持っておくといい。ただし、これが1足目に最適だとは思っていない。2足目でいい。1足目はプレーントウがベスト。爪先や縫い目などに何の飾りもつけてないシンプルなスタイルで、どんな時にも使える。かつ、何も装飾がついていないから手入れも楽。手入れの練習台にもなる。

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