靴底に穴があいた頃が自分の足になじんだ時--『紳士靴を嗜(たしな)む』を書いた飯野高広氏(服飾ジャーナリスト)に聞く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
靴底に穴があいた頃が自分の足になじんだ時--『紳士靴を嗜(たしな)む』を書いた飯野高広氏(服飾ジャーナリスト)に聞く

いつも履いているのに、何やらしっくりこない--。靴にちょっとした悩みを持つビジネスマンは少なくない。「買う前、買う時、買った後」に、紳士靴とどう付き合ったらいいのか。「日本の靴はこの10年でおもしろい状
態になってきた」ようだ。

--日本人の紳士靴は「甲高・幅広」が売り物でした。

今や必ずしもそうではなくなってきた。私(43歳)より下の世代には、むしろ逆の「甲薄・幅狭」のほうが履き心地がいいという人たちが結構多い。全般に同じようなものを売るのではなく、こういった好みの時流の変化に沿って商品傾向が変わり始めている。

これはクルマの世界と一緒。20年前だったら、極端に言えば、カローラとシビックだけで何とかなった。今はトヨタ車だけでも選択肢は何十種類にとどまらない。そういう状況になってきた。

--日本は「靴脱ぎ文化」の国でもあります。

日本人は脱ぎ履きの楽な靴が好きなのは確か。ヒモがあっても、ヒモをきちんと結ばなかったり、それを結んだまま脱ぎ履きしたりもしがち。これでは、靴本来のパフォーマンスが出てこない。ウォーキング姿勢が気になりだし、しっかり履いて歩くという方向に、ようやく進歩してきたともいえよう。

「甲薄・幅狭」はもともと海外のメーカーに刺激され、一部の方々が好んだ。それは海外物がいいという選択に結びつく。私自身、足が細いのでその感覚はわかるが、明らかにそのフィット感がいい。それが好まれると、海外に客を取られる。そこで、国内メーカーでも、「甲薄・幅狭」のいい靴に対する見直しアプローチがされた。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事