イギリスの新年度にあたる9月以降、変動はあるものの、毎日3万人台から4万人台の新規感染者を出している。この数はフランスやスペインなどと比べても突出していて、ドイツに近い状況だ。日本も含めた海外メディアから、何度も感染率の高さを指摘されてきた。
もちろん、要因はさまざまなものが考えられる。最も大きな理由は、9月の新学期に合わせて国内外から学生が移動をしてくる、というものだ。人の移動があれば感染は完全に防ぐことはできない。それでも学生、特に留学生を受け入れた理由は、経済的な理由による。
留学生マネーはイギリスの教育産業にとって欠かせないもので、昨年のコロナ感染による教育産業の経済的損失を、今年も繰り返すわけにはいかないという台所事情があったのだ。
一方で、見逃せないのが「検査率の高さ」だろう。
イギリスのコロナ検査数は毎日90万件
幼稚園や学校、医療介護職の職員にはラテラルフロー検査(新型コロナの検査法の一種)が無料で配布されていて、基本的に週2回検査をし、結果を職場に連絡するルールになっている。子どもも中学生(11歳)以上は、同様に週2回のラテラルフロー検査が義務付けられている。検査キットは無料で支給され、自宅で検査をする。
筆者にも該当年齢の子どもが2人いるが、日曜日と水曜日の夜になると、「子どもの検査結果のアップロードを忘れないように!」と、携帯にメッセージが入ってくる。結果がもし陽性であれば、すぐにPCR検査の予約を入れるルールだ。
ジョンズ‐ホプキンス大学の新型コロナ感染状況統計によると、11月後半だけみても毎日90万件以上のPCR検査が行われている。この結果、無症状での感染者が大量に発見されるようになった。イギリスのPCR検査数は近隣の欧州諸国と比べても突出して多く、これが感染者数の多さとは無関係ではないといわれている。
こんな状況下で飛び込んできたのが、オミクロン株のニュースだった。日本では素早い水際対策を講じたと報じられているが、イギリスではどうだっただろうか?
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