九州発「マルタイラーメン」が日本中で愛される訳 10年間で売り上げ1.7倍増、中国、香港でも人気
2000年代になると、「ロングセラー商品、棒ラーメンの復権をかける。豚骨ラーメン発祥の九州市場を一層強固にする」と掲げ、マルタイは高級路線と九州のご当地シリーズ2つのラインを展開した。
高級路線の「稗田の博多豚骨拉麺」は、液体と粉末のWスープに調味油が付いて、濃厚で奥行きのあるスープの味を実現。当時は2食入り400円で発売され、従来の棒ラーメンの約3倍の価格帯だが、百貨店や高級スーパーなど新たな市場を開拓した。
「量販店などでは限られたスペースを奪い合って小売価格は下落する一方。新商品も続々と登場して消えていく中、高級棒ラーメンは価格競争とは無縁の安定した商品になることを企図した。これからは価格ではなく、質で勝負する時代だと思う」(『マルタイ50年史』より)
2007年には「博多醤油とんこつラーメン」「熊本黒マー油とんこつラーメン」、「長崎あごだし入り醤油ラーメン」と九州ご当地シリーズが次々と発売された。当時一袋2食入り200円で、通常の棒ラーメンと高級路線の間の中間ライン。これは現在でも年々売り上げを伸ばしているヒット商品だ。
さらに、1990年頃からキャンプや登山などのアウトドア好きの間で棒ラーメンが注目を浴びる。コンパクトで持ち運びしやすく、様々なアレンジが楽しめるのが魅力だったようだ。最近のキャンプブームも追い風となり、アウトドア好きの間でも棒ラーメンは定番として浸透しつつある。
棒ラーメンの売上、10年間で約1.7倍に
マルタイの棒ラーメンの売り上げは2010年が18億7700万円なのに対し、2020年は31億2900万円。10年かけて売り上げを約1.7倍も伸ばした。
「地元目線で見ればソウルフードとして定着しており、県外目線で見れば九州みやげとして展開できる点が強いと思います。ローカル食品としての強みがあります」(広報担当者)
8年前の2013年から本格的に海外展開にも力を入れ、中国本土、香港、台湾などでも販売を伸ばす。現地の嗜好を調査して商品の提案を行い、とんこつ味が特に人気を博しているようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら