「GAFA」が狙っている次の「獲物」は一体何なのか? アップル・アマゾン・グーグル・FB+Xの支配戦略

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GAFAについて、われわれが知っている公約数的知識は以下のようなものだ。

これらは、個性的な経営者によって創業された比較的新しい企業であり、高度なテクノロジーや独自のビジネスモデルを武器に競争を勝ち抜いて、インターネットの発展とともに成長してきた。

加えて、その成長のスピードと到達した規模が破格であったことの背景には、旧来の製造業のように規模の拡大が限界利益の低減につながる「収穫逓減」ではなく、サービスに物理的制約が小さいこととネットワーク効果(ユーザーが増えるほどネットワークの価値が上がる)によって「収穫逓増」的な追い風があった。

「次の獲物」を狙っているに違いないGAFA

しかし、次のような疑問もある。

収穫逓増とはいえ、それは無限ではない。かつて、無敵の独占企業に見えたマイクロソフトもスティーブ・バルマーCEOの時代には停滞したし、どんなビジネスでも搾取できる対象は有限だ。

一方、GAFAの株価は率直に言って高い。個別の差はあるが、大まかに言うと、5年後には収益が今の2倍になるくらいの成長がないと、投資家の期待には応えられないだろう。それは、可能なのか。

明らかに見えることは、GAFAには次のディスラプション(既存ビジネスの破壊)の対象になる「獲物」が必要だということだ。それは何だろうか?

ビジネススクールの教授である著者は、まず個々のGAFAの強みをわかりやすく教えてくれる。

例えば、アマゾンについては、並外れた投資規模によって競合企業を圧倒していることは普通のビジネスマンでもわかるが、ジェフ・ベゾス氏の優れていた点は、自社の本質をテクノロジー企業だと理解したうえで「出費の科目を収益の科目に変えたこと」だと指摘する。

自社にとって必要な巨大なデータ処理とそのための設備やソフトは、やがてその仕組みを外販する現在世界最大のクラウドサービスであるAWSに転用された。また、通常のビジネス常識ならアウトソーシングを考える倉庫や運送業の必要性を自社に取り込んで、その成果を使ってアマゾン・マーケットプレイスをビジネスにするといった具合だ。著者は、通常のビジネス書よりも「強みとしての垂直統合」を高く評価している。

著者の見立てでは、GAFAの中で当面、時価総額を最大化するのはアマゾンだとする。

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