2022年「生活が苦しくなる悪い円安」にはならない 黒字を稼ぐ日本経済の「底力」は健在なり!

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今後は「ドル高円安がどんどん進む」という話が出回っているが、本当だろうか(写真:AP/アフロ)

商社の業界団体に「日本貿易会」という一般社団法人がある。筆者は以前、この団体の貿易動向調査会の委員を長らく務めていた。各商社輪番で回ってくる座長も、2005年と2012年の2回務めたものだ。日本貿易会ではこの調査を1974年からやっていて、現在は商社8社が商品別に分担して予想を積み上げて作成している。

日本の貿易は枯れるどころか大活況!

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

自社の担当品目の輸出入状況を調べて、社内外へのヒアリングを加えて予測を組み立てる、という作業はもちろん面倒ではあるけれども、まことに知的でスリリングなものであった。さらに各社の担当者が、数字を持ち寄って全体の予測を作る作業があり、これが喧々囂々の議論となる。

ミクロの積み上げで全体として自然な数字ができればいいのだが、それがマクロの見通しとかけ離れたものになったときは、どこかで調整しなければならない。どこを削ってどこを増やすか、ここは座長さんの腕の見せ所となる。

そんなわけで、自分が実務から遠ざかった後も、毎年このデータには注目しているし、翌年の経済予測を組み立てるうえで重要な参考資料とさせてもらっている。今年は12月2日に「2022年度わが国貿易収支、経常収支の見通しについて」 が公表されたのだが、正直、今回は驚いた。当面の貿易動向が、えらく活況を呈しているからである。

いくら新型コロナの影響で、前年の2020年度実績が1割前後落ち込んだからと言って、2021年度が輸出入ともに前年比2割以上の増加だなんて、こんな伸びは見たことがない。なるほど世界中の港湾で「コンテナが足りない」といった騒ぎが起き、証券市場で海運株が活況を呈しているのもむべなるかなである。

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