日経電子版を探してみたら、驚くべし、2012年2月6日に掲載された対談記事がちゃんと残っていた 。このときは菅野雅明氏が、「2015年には経常収支は赤字に転落する」と主張していて、筆者が貿易動向調査会を代表して「そんなことはないですよ」と言っている。
議論の中身はハッキリ言って当方が押され気味であるし、震災の爪痕が残るうえに超円高で産業空洞化が進み、政府は民主党政権でまことに頼りなく……という往時の記憶が思い出されてくると、確かに菅野説のほうが、説得力があった。
日本経済の輸出競争力は衰えていない!
それがなんと2020年代になっても、同じような議論が通用するという現状には、いささか唖然とするほかはない。ともあれ、日本経済の輸出競争力は衰えておらず、モノづくりはまだまだ健在なようなのである。
経常収支についても同じことが言える。貿易収支はほぼ均衡ベースとなっているものの、日本人や日本企業が海外に保有する資産からもたらされる第1次所得収支は22兆円を超える規模となっている。2022年に向けて、世界的に金利は上昇傾向となるだろうから、配当は増えるだろう。ということは、経常黒字も安定的に続くということになる。
2022年の経済予測において、「日米金利差の拡大によるドル高円安」という観測を最近よく耳にする。
いわゆる「悪い円安」という議論だが、この貿易動向調査を見る限り、円が一方的に売られる展開は考えにくいのではないか。
世界経済がウィズコロナの下で経済正常化に向かう中にあって、貿易は輸出入ともに伸びている。2022年の日本経済を展望するうえにおいて、心強い材料ではないだろうか(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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