モデルナを甘く見る人が知らない驚くべき正体 製薬業界そのものを一変させる可能性を秘める
mRNAとは「自分の細胞が自らタンパク質を作るための設計図」です。
タンパク質は私たちの生命活動を支えていますが、そのタンパク質の異常は病気や身体の不調につながります。ウイルスもタンパク質からできています。とすると、タンパク質が正常に機能する仕組みは病気や不調を治療・治癒するような機能を持つはずです。製薬企業が製造した薬を口から飲むのではなく、人体の細胞に病気を治すためのタンパク質、つまり薬を作ってもらう。そのための設計図がmRNAです。
モデルナのmRNAプラットフォーム戦略
一方、製薬業界そのものを一変させるモデルナのポテンシャルの源がプラットフォーム戦略です。私は、アマゾンやアップルなどテクノロジー企業のプラットフォームを「商品やサービスの提供者、商品やサービスの購入者が取り引きするための、共通の場のようなもの」として捉えています。
では、モデルナのプラットフォーム戦略でいう「共通」とは何か。それこそが、mRNAです。mRNAを「自分の細胞が自らタンパク質を作るための設計図」と言いましたが、その設計図の概念がプラットフォームという共通の土台になってくるのです。
モデルナの新型コロナウイルス・ワクチンはmRNAワクチンなので、予防接種として体内に投与されるのはあくまで「設計図」ということになります。インフルエンザなどに対する従来のワクチン接種では、病原性を消失させた、または病原性を弱めたウイルスを投与することが一般的です。
ウイルスもタンパク質などからできているので、その点、ウイルスそのもの、タンパク質そのものを投与するのと、「自分の細胞が自らタンパク質を作るための設計図」を投与するのとでは、発想がまったく異なるように思われます。
もしこのmRNAテクノロジーを使用した手法が他のワクチンや医薬品の開発にも広く応用されるなら、そしてそうした手法が従来のワクチンや医薬品と比較して開発期間を大幅に短縮できたり、あるいは予防や治療の効果をより広範囲に及ぼすことができたりするなら、既存のワクチン市場や製薬業界を破壊する可能性も出てくるでしょう。
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