働く親が感じる「小学校入学前の不安」の正体 「小1の壁」への理解はまだまだ得られない現状

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そもそも私たちが、ストレスと感じる原因は、マイナス要因と捉えがちですが、ストレスの誘因となるストレッサーの正体は「変化」です。

良いことであったとしても、今の生活に変化をもたらすものは、すべてストレッサーなのです。通常モードにこそ安心感を覚えるので、大抵の人は変化を好みません。特に低年齢のうちはこれが顕著です。子どもたちが大好きなアニメやドラマが、同じストーリーをたどるからこそ、楽しむことができることからもわかると思います。

特に入学などは、大きな環境変化です。「いつもと違うこと」にストレスを感じるので、入学準備が迫るに従い、楽しみな気持ちを盛り上げようと「特別感」を出しすぎると、変化の影響をもろに受けることになります。

「小学校に行くと○○だよ!」との情報は、期待感を高める効果は、もちろんあるのですが、今と違う生活が始まることを暗示することなので、程度によっては、かえって不安になることもあるのです。ですから、子どもの不安を改善しようとすると逆効果になることもあるので注意が必要です。子どもの状況を見ながら、期待感を高められると良いですね。

「不安」をとことん共有することが大切

子どもから不安な気持ちが語られたり、不安な様子が見られたら、とことん付き合いましょう。不安な気持ちに対してきちんと向き合うことが大切です。親にも余裕がないと難しいですが、「○○が心配なのね」と、そのままの気持ちをしっかりと受け止めましょう。そして、十分に気持ちを受け止めたら、「そんなふうに考えちゃダメ」「そんなこと、今から心配しても仕方ないでしょ」という否定はしないことです。答えは出なくて構いません。心配なことや不安なことを、とことん共有することが大切なのです。しかし、同じことを繰り返されると「まだそのこと言ってるの?」という気持ちになりがちだと思いますが、まだ話をするということは、気持ちの整理ができていないからです。入学まで続くこともありますので、忍耐強く関わってください。関わるという行為が安心感をもたらします。

実は、この入学前の時期だからこそ、より一層、子どもの気持ちと向き合ってほしいのです。子どもは子どもなりに我慢し、親のことも考えています。入学後に本当に問題と直面したときに、親に話せば何とかなるという感覚が、のちに大きな問題を引き起こさないための予防にもなります。

しかし、忍耐強く関わるためには、親自身の気持ちにゆとりがないとできません。親自身のケアも必要です。ストレス解消をうまく取り入れて、何事も抱え込まないようにしましょう。パートナー、親、身近な友人、場合によっては、専門の相談機関などを利用する選択肢もあります。

子どもの気持ちの安定に最も重要なのは、親が不安にならないこと。

やらなければならないことが山積みになると、それだけで気持ちが追い込まれてしまいます。忙しい毎日かとは思いますが、まだ大丈夫と思わずに、入学準備にはプラスαの余裕をもって前倒しで取り掛かり、まずは物理的な余裕を持ちましょう。家族の笑顔が一番の解決策です。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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