医師が教える「認知症の進行を抑える」最高の方法 絶対にやってはいけないNG介護も併せて紹介

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家事・身支度などは大したことではないように思えるかもしれませんが、やる機会が減れば、考えたり体を動かしたりするチャンスもそれだけ減ります。これが、脳や体の衰えにつながり、症状の進行を早くするのです。

本人にやらせるほうが手間や時間がかかったりして、介護者の方にとっては大変なときがあるのは重々承知していますが、スムーズにできなくても時間をかければできることは、できるだけ本人にやってもらいましょう。できないところだけ、周りが補助するスタンスでいることが大切です。

認知症を悪化を防ぐために「最も大事なこと」

最後に、これまで30年の臨床経験から「認知症の悪化を防ぐために最も大事だと思われること」がわかったので、そのお話をさせてください。

結論から言ってしまうと、認知症を進ませないために大事なのは、「話し方」をはじめとする認知症の方への「コミュニケーションのとり方」です。でもいったいなぜ、話し方が大事なの?と思われた方も多いでしょう。順を追って説明していきましょう。

「子は親の鏡」と言いますが、認知症の方と介護者もまた「鏡」の関係にあります。これまでお会いしてきたご家族でも、介護をされている方が明るい雰囲気を醸し楽しそうにお話しされていると、一緒にいる認知症の方もニコニコしていたり、穏やかな様子でいることがほとんどでした。

残念ながら反対に、介護者がピリピリしていたり、いかにもつらそうで口調がきつかったりすると、認知症の方もどんよりと暗い雰囲気をまとっていたり、暴言やリハビリ拒否などが多かったりと、あまりよい状態ではないケースが多かったのです。

認知症の方の症状や困った行動は、「認知症」のなせる業であり、介護者への個人的な悪意や社会への反発とは無関係です。

そのため、「ダメでしょ!」「迷惑なのがわからないの!」等々、高圧的な態度をとっても、それらの行動を改善する効果がないだけでなく、認知症の方と介護者の両者を追い詰めてしまうだけの悪循環に陥ります。

介護者も、反射的に叫んだことで後味が悪い思いをし「なんでこんなことに」と暗澹たる気持ちに支配されてしまうかもしれません。

認知症の方のほうも、怒られて落ち込み、引きこもりになったり、気分が沈んで人との接触や能動的な行動が減ったりして、結果的に認知症の症状が悪化することもあります。そんなことが続けば、介護の時間や手間も増大。介護者にとってもまた、負の連鎖が止まらなくなるのです。これではお互いにつらいことばかりですね。

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