医師が教える「認知症の進行を抑える」最高の方法 絶対にやってはいけないNG介護も併せて紹介

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認知症の進行を緩やかにする「最高の方法」とは?(写真:pearlinheart/PIXTA)
認知症の進行を緩やかにする「最高の方法」とは? 30年以上、認知症の方と介護者を見つめ続けてきた横浜鶴見リハビリテーション病院院長の吉田勝明氏による新書『認知症が進まない話し方があった』より一部抜粋・再構成してお届けする。

世間では、認知症に対する誤解や偏見がまだまだあり、「発症したら手の施しようがない」と思い込んでいる人も少なくありません。また、いったん困った行動を起こすようになったら、もうやめさせることは不可能。人が人でなくなる、とても他人には言えない恥ずかしいこと、そんな誤解が消えないのは残念です。

確かに認知症発症前の状態に戻すことは、現在の医学では難しいと言わざるを得ません。しかし適切なケアによって認知症の進行を遅らせ、問題となるような行動を軽減させることはできると、私は思っています。

認知症を「恥ずかしい」と思う必要はない

医師として30年以上認知症の方を診てきましたが、介護者の方のケアにより、認知症の方の行動がガラリと変わった例をいくつも知っているからです。

そのためにもまず、何よりも大事なのは、認知症を決して隠さないこと。「恥ずかしい」などと身をすくめる必要など、全くありません。

認知症は85歳以上の高齢者の約半数が発症する「とても身近なもの」です。家に閉じ込めず、買い物や散歩に連れ出し、ご近所の方と触れ合う機会をつくりましょう。

人と接し、会話を交わすことは、脳への何よりの刺激。認知症の進行を遅らせる効果があります。隣近所の方にも、家に認知症の方がいることをちゃんと説明し、協力を求めておくと安心です。

「うちのおじいちゃん、やっぱり認知症だと診断されたんです。家でしっかり介護していきますが、万一、おじいちゃんが一人で歩いていたりしたら、すぐに私に言ってくださいね。お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします」

この一言で認知症の方への理解を促すだけでなく、介護者が目を離したすきに徘徊されたときのセーフティネットにもなります。

認知症を悪化させないためには、「よかれと思ってやっている行動」を見直すことも重要です。よくあるのが、「認知症の人が本当はできること」まで、介護者がやってしまうこと。

認知症の方は認知機能の低下によって、料理や買い物、掃除などの家事や身支度など、これまで普通にやってきたことが、スムーズにできなくなります。

その様子を見て、「きっとできないだろうから」「なんだか、大変そうに見えたから」と、なんでも周りの人が代わりにやってしまうことが多いのですが、これを続けると症状の進行は早くなります。

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