脱オフィス一本足!進化するポスト・イット 超アナログなのに手放せない製品の育て方
書類や書籍のしおりに、簡単なメモ書きに、あるいは企画立案などのアイデア整理に……。スリーエム(3M)が開発・販売する「ポスト・イット」は、いまや付箋の代名詞であり、ビジネスシーンに欠かせない文房具だ。
そもそもポスト・イットは、研究途中に偶然できてしまった「貼ってはがせる」のりから誕生した。それから40年。ジミで代わり映えのしない商品と思われがちなポスト・イットだが、ユーザーの声を取り入れ、着々と進化を遂げている。
「貼ってはがせる」のりを「しおりやメモ代わりに使えるのでは」と思い立ったのは、3M米国本社の研究者。試作後、主に米国『フォーチュン』誌の大企業ランキング上位社に勤める秘書たちに配布してみたところ、これが大ウケし、発売後のヒットにつながった。
「もったいない精神」が日本独自のポスト・イットに
その後日本でも販売され、同じくヒット商品に成長。「日本にはもともと付箋の文化があったので、ポスト・イットはすんなりと消費者に受け入れられたようだ」と、3M文具・オフィス事業部製品マーケティング部の伊藤優理さんは語る。
ただ、一つ米国とは違った受け止め方をされた部分がある。それは、ポストイットの大きさについてだ。当初日本に輸入されたのは、7.5センチメートル×7.5センチメートルの正方形のもの。米国では7.5×12.5センチメートルサイズのものと並んで非常にポピュラーなサイズだが、それが日本人にはしっくりこなかった。
背景にあるのは、日本人の「もったいない精神」だ。「市場の声を拾ってみると、正方形サイズは一言二言、あるいはしおり代わりに使うには大きすぎてもったいない、という声が多かった」(伊藤さん)。正方形を縦に3等分して使っているというユーザーも少なくはなかったという。
そこで、日本では別途、7.5×2.5センチメートルサイズを製造。これが市場で受け入れられ、今でも日本ではこのサイズが最も人気だ。
現在、日本で販売されているポストイットの中で最大サイズは15×10センチメートルのもの。米国では、30センチ以上のものも売られていることを考えると、「小さきものは、いとをかし」といった日本人の感覚に合わせて製品を投入していることがわかる。
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