ある「恋愛バラエティ」が挑む、"壮大な実験"

テレビ離れする若者を取り込む「恋んトス」の仕掛け

――「恋んトス」は、事前の台本や演出がなく、有名なタレントではない出演者が現実に起こっている予測できない出来事に直面する様子が映し出される「リアリティ番組」に分類されます。

リアリティ番組制作においては、これまでやらせ問題が数多く話題になってきました。ツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディアを活用した番組制作には、話題が拡散するメリットと、一方で大きなリスクもあるような気がします。

嵯峨祥平(さが・しょうへい)
TBSテレビ編成局編成部編成課 
1979年生まれ。2005年TBSテレビ入社。入社後は一貫してバラエティ番組の制作を担当。ディレクターとして「アッコにおまかせ!」「DOORS」 「もてもてナインティナイン」「Gメン99」を制作。初企画番組「恋んトス」のプロデューサーとして、ツイッター上には、アカウント名「さがP」で登場。

さがP:視聴者から「やらせではないのか?」という視点で見られるのではないか、タレントではない出演者をどのように管理したらいいのかという問題を考えて、尻込みしていた気持ちがまったくなかったかというとうそになります。

フジテレビの「あいのり」は、設定自体が海外を舞台としていたのに対して、「恋んトス」は、新島や榛名湖など国内。また、インターネット環境やスマホの普及率も当時とはまったく違います。撮影中、出演者には携帯電話を持たせず、外部との接触を絶ったほうがいいのか……と、一瞬、悩みましたが、スマホなど携帯電話やネットを使わない恋愛は今のリアルではない。逆に番組側からスマホを出演者に手渡し、番組制作に生かそうと考えました。

出演者同士で撮影の空き時間に自由に写真を撮ってもらい番組ホームページ上に載せています。“半目”だったり“変顔”だったりする写真は、まるで修学旅行のような雰囲気で、番組のリアリティがより伝わっているように思います。

念願の「恋愛もの」の企画が通ったときに考えたのが、「これまでにない、何か新しい取り組みで挑戦したい」ということでした。若年層を取り込むには、ツイッターやフェイスブックなどネット上のサービスを取り込み、テレビ番組との相乗効果を狙いたい。ですが私自身は、個人的にツイッターもフェイスブックもやったことがない(笑)。デジタル技術に詳しい、同期の柳内のところに行って相談しました。

予想だにしなかった、ツイッターの反応

柳内啓司(やなぎうち・けいじ)
TBSテレビ編成局コンテンツ戦略部 
1979年生まれ。2005年TBSテレビ入社。ドラマやバラエティの制作技術部門、社内ベンチャー出向、情報システム部門を経て、現職。デジタル技術を活用した番組宣伝や企画を担当。『恋んトス』ツイッター上には、アカウント名「Web担やなぎ」で登場。

Web担やなぎ:嵯峨プロデューサーから相談を受けたとき、ちょうど、ツイッターのつぶやきを集計、編集してビジュアルでわかりやすく表示するシステムを、相性のいい番組で試したいと考えていたところだったので、これだ!と思いました。

このシステムを使って、「恋んトス」のホームページ上では、放送終了から次週の放送前までの間、直近の番組内容についてアンケートが実施されています。たとえば「ニコラス(出演者)の心変わりはあり? なし?」という問いかけに対して、視聴者はツイッターで「あり」か「なし」かをつぶやく。そのつぶやきが集計され、比率が表示されます。

つぶやきには、「あり」「なし」だけでなく、「一回好きになったやつを簡単にあきらめるなよ、駄目でもやるだけやってみればいいやん、もっと頑張れよ~」「いやー、しょうがない。好きになっちゃうよ~、もともと気になってた子だもん。ねえ、うん。」など、それぞれの感想も書き込まれています。視聴者が出演者に共感したり、応援したりする様子をネット上で見せることで、視聴者の興味を1週間後の放送まで引っ張ろうというのが、このシステムの狙いです。

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