「寝たきり獣医師」難病と知らず頑張り続けた日々 中学1年で発症、診断名がつくまでに20年以上
病名がついた瞬間、喜んでしまうのは、本当はいけないことないのかもしれません。
でも、ようやく正式に「慢性疲労症候群」という診断が降りた瞬間は、心の中で思わずガッツポーズをしてしまいました。病気を発症してちょうど20年が過ぎた、31歳のときです。
中学生の頃からノートに書き続けてきた症状の記録を手に病院を探し回り、「この病気だと思うのですが……」と自ら医師に訴えたことが、今回の診断につながりました。
「病気なんだから、今までできなかったことは仕方ないことだったんだ」という、形容しがたい安堵感が、体の底から込み上げてきました。
診断にショックを受ける一方で…
ただ、病名がついたところで、病気が治るわけではありません。一生付き合わなければいけないという現実はショックではありましたが、その一方でとてもいいことがありました。
理学療法士の方が「疲労感を軽減するために、車椅子を使用してみてはどうですか?」と提案してくださったのです。
使い始めてみると、全身の痛みが驚くほど緩和されて、今までにないような快適な時間を過ごせるようになりました。
今でも覚えているのは、友人の結婚式に車椅子に乗って参加したときのこと。お料理をいただいた瞬間、心の底から感動したんです。「なんておいしいんだろう」って。
今までは体のどこかがつねに痛かったので、量を多く食べることや、食事を楽しむことはできていませんでした。でもこのときは、もうずっと感じてこなかった喜びを文字どおりかみしめられたんです。