「寝たきり獣医師」難病と知らず頑張り続けた日々 中学1年で発症、診断名がつくまでに20年以上

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中学1年生のときにインフルエンザにかかると同時に、「慢性疲労症候群」という病気を発症。それ以来、症状がない日は1日もありませんでした。

慢性疲労症候群は、「疲労」という言葉が病名に含まれているので、「人よりも少し疲れやすい病気なのかな?」と思われがちなのですが、実際の症状はもっと深刻です。

まるで高熱が出ているときのような倦怠感、歩けないほどの脱力感、全身の慢性的な痛み……。

日によって程度の差はありますが、体を動かして活動量が増えるほど重い症状が出るので、ほかの人と同じように日常生活を送るのは非常に困難でした。

「やればできる」と思い動物病院に就職

そんな状態で普通に動物病院に就職する道を選んでしまったのは、「自分はやればできる」という思い込みがあったから。病名がつかず、歪んだ認知で自分の健康状態をとらえていたのです。

ただ、やっぱりほかの人と同じように働くことはできませんでした。いや、正確には、ほとんどのことは“すごく頑張れば”できるのです。

でも、限度を超えて活動してしまうと、勤務中に足が前に一歩も出ない、手が思うように上がらない、言葉が出てこなくなるという症状が頻繁に起こるようになりました。

いちばん困ったのは、物事を同時処理が困難になる「高次脳機能障害」の症状です。近くで電話が鳴ったり、ワンちゃんが鳴いていたりすると、目の前の飼い主さんの話をうまく聞き取れず、スムーズな会話ができなくなってしまった。

このままでは何か重大なミスを起こしてしまうのではないかと、不安で不安で仕方がありませんでした。結局、動物病院で医師として働けたのは半年程度。退職後は、自分にできる仕事を探し始めました。

(写真:本人提供)
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