「寝たきり獣医師」難病と知らず頑張り続けた日々 中学1年で発症、診断名がつくまでに20年以上

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今の状態を一言で言うと、ものすごく幸せです。体に負荷をかけず、自分の専門性を役立てて働くことができるようになりました。

飼い主さまからは、日々さまざまなご相談が寄せられます。「今すぐ病院に行ったほうがいいですか?」といった緊急性の高いものから、動物病院では聞きづらい「ペットにダイエットをさせるにはどうしたらいいですか?」といった日常生活に関するものまで。

不安を感じていた飼い主さまに、「それなら安心ね」と言っていただけると、自分の役割を果たせたことに大きな喜びを感じます。

仕事とは自分に「生きる意味」を与えてくれるもの

これまでの経験を振り返って感じるのは、仕事とは自分に「生きる意味」をくれるものだということ。

病気になると、誰かの役に立つ実感はなかなか得られなくなります。じっとしている時間が長かったり、自分よりもほかの人がパッと動けるのを目にすると、どうしても辛くなってしまう。

それでも、仕事を通して自分の役割を果たせると自信が湧いてきて、それが生きる楽しさにつながります。

ベッドの上からでも、自分らしく働ける(写真:本人提供)

ただ、「役割が与えられるなら仕事は何でもいい」というわけではありません。本当に充実感を得るためには、「自分はどんなふうに人の役に立てれば幸せなのか?」を知り、それを満たせる仕事に出会うことが大切。

私の場合は、専門性を生かせることに加えて、「飼い主さまとの会話を大切にしたい」という軸がありました。飼い主さまとオンラインで会話ができる今の環境には、とても満足しています。

健康な人の中にも、今の仕事にやりがいを感じられない人もいるかもしれませんが、イキイキと働くことを諦めないでほしい。自分の果たすべき役割を全うできる仕事は、想像もつかなかった充実感をもたらしてくれます。

時間はかかるかもしれませんが、自分がいちばん大事にしていることを軸にしていれば、きっといつか自分が幸せになれる仕事とめぐり会えると思います。

(写真:本人提供)

取材・文/一本麻衣 

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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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