弱音吐く、すぐ泣く…リーダーを部下が慕う真意 室町幕府を築いた足利尊氏もダメ人間だった!
今は弱さを見せたほうが共感されやすい?
リーダーは強くあらねばならない、と思っている人が今なお多いように思います。部下に弱みを見せるなんてもってのほか、つねに模範とならなければいけない。それが理想のリーダーである、と。
もちろん、力強いリーダーをやれる人はやるにこしたことはありません。が、無理に自分に合わないリーダーを演じてみても、すぐにボロが出てしまいます。むしろ今時は自分の弱さを包み隠さず見せたほうが、部下の共感を得られるケースが多いのです。
これは現代に限ったことではなく、日本の歴史上にもそういうリーダーシップを発揮して、成功した例がいくつもありました。室町幕府の創設者・足利尊氏はその好例といっていいでしょう。
足利尊氏のことを、鎌倉幕府を打倒して室町幕府を創始した力強いリーダーだ、と思い込んでいる人は今も多いようです。ところが実像はその真逆といってよく、彼は生来、気が弱いダメな人でした。
困難に直面すると不安を隠しません。泣き出します。ひどいときは「腹を切る」「私は死ぬ」といって、周囲を困らせました。それでも家臣たちは尊氏を見捨てませんでした。彼のダメな部分が可愛く見えたのかもしれません。
尊氏よりも能力の高かった弟の直義や、優秀な重臣の高師直が、「この人には私がいないとダメだ」と思い、必死に支えてくれたのです。
尊氏は足利家という武家の名門に生まれ、何不自由なく育ちました。鎌倉幕府の執権である北条家の最後の執権(16代)・赤橋守時の妹を、尊氏は嫁にもらうなど、鎌倉政権下でも武家として最高の扱いを受けています。
ですから、彼は逆境などというものを、そもそも味わったことがありませんでした。日々、嫌な思いをしたことがないから、人を恨んだり、疑ったりすることもありません。素直に周囲の人々を皆、受け入れていました。
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