「難問にぶつかった」リーダーが知るべき超発想 そんな時に手本にしたい渋沢栄一の"柔らか頭"
リーダーが悲観的か楽観的かで命運が決まる
ピンチに直面したとき、リーダーが悲観的か、楽観的か、どちらのタイプに属するかでチームの命運が決まってしまいます。世に多いのが、悲観的なリーダーです。「事態はもっと悪くなるだろう」「もう打つ手がない」「いくら足掻いてもムダだ」と悪い方へ悪い方へと考える、こういうチームリーダーをよく見かけます。
部下が対策を提案しても、すでに聞く耳を持てなくなっている状態に陥っていて……。これでは事態を、自らさらに悪化させているようなものです。
皆さんはどうでしょうか? ピンチのときほど、楽観的に考えられる人が、チームを窮地から救います。なぜならば、冷静に考えれば本来は、打つ手は無限にあるのですから。それを体現したのが、幕末から昭和を生きた日本経済界の大立物・渋沢栄一でした。
のちに“日本近代資本主義の父”と称えられる渋沢栄一は、苗字帯刀を許された埼玉の豪農の出身です。何不自由ない生活を送っていましたが、幕末、神道無念流を学び、朋友と交流するうちに、流行の尊王攘夷の思想に染まっていきます。
ついには、高崎城を乗っ取り、横浜を焼き討ちして、幕府を潰してやろうという企みに参加しました。計画自体は未遂で終わったのですが、関八州取締出役(今日の公安警察)に目を付けられてしまいました。
そんなときに、剣術修行で江戸へ出たおりに知り合った将軍家の家族=御三卿の一つ、一橋家の家臣である平岡円四郎から、一橋家への仕官の話をもらいました。渋沢は少し前まで、幕府を転覆させようと考えていた男です。にもかかわらず、彼は徳川家の支系の一つである一橋家に仕官したのです。
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