「難問にぶつかった」リーダーが知るべき超発想 そんな時に手本にしたい渋沢栄一の"柔らか頭"

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徳川家は静岡に移っていたため、渋沢も静岡を拠点にしました。当時、旧幕臣の多くが慶喜についてきたため、静岡の人口は急増し、土地の値段も跳ね上がって、経済がガタガタになっていました。

渋沢は銀行や商社の機能を持つ「静岡商法会所」を設立。静岡の名産であるお茶に目をつけて、お茶農家に資金援助をする仕組みを作りました。

深刻に考えず、やれることからやってみる

お茶であれば、武器と違って素人の商人でも扱えます。日本のお茶の品質は海外でも評価が高い。おまけに収穫サイクルも早く、すぐに輸出できるため、速やかに現金化できる利点がありました。その成果によって渋沢は、静岡の経済を立て直したのです。

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困難に直面しても彼は深刻に考えず、やれることからやってみようと挑戦しつづけました。この“軽やかさ”、フットワークのよさが渋沢の持ち味、真骨頂です。彼は常々、「俺なら慶喜公を説得できる」と心中で思っていたようです。もともとの身分からいえば、天と地の開きがありましたが、それすら渋沢は深刻に捉えませんでした。

楽天的に発想すれば、打てる手は無限にあります。彼は日本経済のリーダーとして、そのことを生涯かけて示し続け、彼の意志を継いだ人たちによって、日本は経済大国に成長していったのです。

加来 耕三 歴史家、作家

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かく こうぞう / Kozo Kaku

歴史家・作家。1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒業後、同大学文学部研究員を経て、現在は大学・企業の講師をつとめながら、独自の史観にもとづく著作活動を行っている。『歴史研究』編集委員。内外情勢調査会講師。中小企業大学校講師。政経懇話会講師。主な著書に『日本史に学ぶ一流の気くばり』『心をつかむ文章は日本史に学べ』(以上、クロスメディア・パブリッシング)、『「気」の使い方』(さくら舎)、『歴史の失敗学』(日経BP)、『紙幣の日本史』(KADOKAWA)、『刀の日本史』(講談社現代新書)などのほか、テレビ・ラジオの番組の監修・出演も多数。

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