虐待、薬物…壮絶な人生を逆転させた29歳の決断 生きることに諦めた子どもたちを助けたい
「薬はやめていましたが、なんのために薬をやめなければならないのかという理由がみつかりませんでした。でも、子どもたちの存在が『薬をやめ続けたい理由』になったんです。アルコールも必要ない……というか、もう酔っ払うことが面倒だと思っている自分に気づきました」
薬をやめて、現在10年になるという風間さん。前オーナーに声をかけられ、2019年に経営を引き継いだ「ごちゃまぜCafeメム」(東京都江戸川区)では、ギャンブル依存症から回復の道を歩んでいる店長と二人三脚で、生きづらさを抱えた人や子どもたちに寄り添う活動をおこなっている。
「生きているのも、案外悪くない」
営業中に開催している「子ども食堂」ではアレルギー食にも対応し、「お腹がすいたら、いつでもおいで」とさまざまな子どもたちを迎え入れる。保護司として関わっている少年たちもカフェに訪れるという。
「店長は税理士を目指しているんです。私も司法試験合格を目指しているので、元ギャンブル依存症の税理士と、元薬物依存症の弁護士タッグを組めたら最高だなと思っています」
なぜ、風間さんは司法試験に向けて勉強を始めたのか。その理由は「当事者性に専門的な知識が合わされば、できることの幅が無限に広がる」と考えたためだ。
「私は学歴がないので、資格を取るためには壁もあります。でも、いろいろ調べているうちに予備試験のことを知り、中卒でも必死で勉強すれば可能性があると思ったんです。とはいえ、司法試験は文系最難関といわれる試験です。育児もあるので、10年以上はかかると思って、コツコツ勉強しています」
現段階では「なりたい弁護士」のビジョンが明確にあるわけではないが、「虐待に苦しむ子どもたちや依存症の人たちを助けたい。『かつての自分』が救われるような活動をしたい」という。また、司法試験に合格することで、「生きる希望」を見出せずにいる若い人たちに伝えたいこともある。
「私自身も『生きたい』という気持ちはありませんでした。自分は『世界で1番不幸な人間』だと思っていましたし、道ゆく笑顔の人たちを見るだけで殺意を抱いたこともあります。
でも、薬にハマってしまっても復活できる。学歴がなくても、どんなにつらくても、生きて諦めなければ、なんにだってなれる。私は、それを存在で示す『生き証人』になりたいんです。そして、若い人たちに伝えたい。『生きているのも、案外悪くないよ』って」
(※取材は新型コロナウイルス感染症対策のうえ、東京都内でおこなった)
(弁護士ドットコム編集部:吉田緑)
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