虐待、薬物…壮絶な人生を逆転させた29歳の決断 生きることに諦めた子どもたちを助けたい
写真家、文筆家の風間暁さん(29)は、子どものころに親から虐待を受け、今日まで生き延びたサバイバーだ。かつては生きる希望を見いだせず、10代のころは自殺未遂を繰り返した。薬物をやめられなかった時期もある。
そんな風間さんは現在、犯罪や非行をした人の更生を支える保護司になり、発達障害の人たちや非行少年など、さまざまな人たちの居場所としてカフェを経営している。さらに多岐にわたる活動のかたわら、二人の子どもを育てながら、司法試験合格を目指している。
「秩序の外」で生きざるを得なかった
風間さんは幼少期から母親の虐待を受けて育った。小学校低学年のころ、母親の意向で習っていたピアノをやめたことがきっかけで、虐待はエスカレートし、暴力も始まった。父親は見て見ぬふりで、助けてくれる大人はいなかった。
小学4年生のころ、父親が飲酒運転で事故を起こして逮捕されたことを機に、両親は離婚。住んでいた家にいづらくなり、母親と別の町に引っ越した。転校先の小学校で風間さんを「仲間」として迎え入れてくれたのは、不良グループだった。
「仲間の多くは、家庭に問題を抱えた子どもたちでした。親が自殺していたり、刑務所に入っていたりする人もいれば、親が薬物を使っている家庭で育った人もいます。アウトローな親もいて、私も仲間の親にお酒を買ってもらったことがありますよ」
仲間たちとは、タバコや酒をのんだり、ガスを使ったり、夜中に集まって公園でロケット花火を打ち上げたり、原付に乗ったりする「遊び」をしていた。徐々に家に帰らなくなり、仲間の家に泊まり歩くようになった。「ルール」を破ることを何とも思わなかった。