残念!ランチで「うまい寿司」が食えない理由

ヤバい「1万円高級寿司」の裏側【後編・完結編】

高級寿司店は「カウンター」と「テーブル席」は別物

河岸:寿司屋のカウンターで食べるメリットは、何といっても「握りたてを食べられる」ことだね。寿司は握りたてがいちばんおいしいから。職人さんが置いた瞬間に食べないとダメ。

N君:作家の池波正太郎が「てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べる」と書いていますが、寿司も天ぷらも同じなんですね。

河岸:そのとおり。君みたいに、ペラペラしゃべって寿司を置きっぱなしにしていると、どんどん味が落ちるよ。

N君:え~、早く言ってくださいよ。

河岸:あと、カウンターは「職人さんが手抜きをできない」というのもあるよね。最初にヒラメの刺身を頼んだけど、本当は厨房の向こうに皮をむいたヒラメがすでに用意してあったのに気づいた? でも、僕たちにはそれを使わず、その場で皮をむいたのを出してくれた。ヒラメは皮をむきたてがいちばんおいしいから。

N君:え、じゃあ皮をむいたやつは?

河岸:テーブル席に出す。ワサビもそうだったよ。あらかじめすり下ろしたワサビがあったけど、僕たち用にはその場ですって出してくれた。

N君:「なんだかうるさそうな客が来た」と思って気を遣ってくれたんでしょうね(笑)。

河岸:でも、逆にいうと、テーブル席で食べるよりもカウンターで食べたほうが、同じようなものを食べても一般的には値段が高い。高級寿司店は「カウンター」と「テーブル席」は別物だから。

N君:えっ、そうなんですか? それなら安いテーブル席にしたのに(笑)。同じようなものを食べても、カウンターとテーブル席では、値段も味も違うというのは、知らなかったなぁ。

100円回転寿司はそもそも無理がある

N君:しかし、本当においしい寿司は高いし、注文も難しいですね。それを考えたらやっぱり回転寿司は気軽ですね。

河岸:うん、だから回転寿司が流行るのもわかるのよ。でも、そこでみんなが回転寿司を選んだら、あの寿司職人さんたちは仕事がなくなってしまう。寿司職人は日本が世界に誇る伝統を伝える人たちでしょう。あの人たちがクビになって、回転寿司のバイトに仕事を取って変わられるのは絶対におかしい。

N君:そうですね……。

河岸前回も書いたけど、そもそもモノには「適正価格」っていうものがある。安いものを安く食べるならいいんだけど、100円回転寿司は高いものを無理やり安くして食べさせようとするから無理がある。

N君:原価が違うわけだから、カッパ巻きもマグロもイクラもウニもみんな同じ100円のほうが、よく考えたらおかしいですよね。

河岸:100円寿司もいろいろ頑張っているけど、やっぱり100円寿司は本物の寿司とは言えないよ。寿司職人が握った本物の寿司は高いけど、それだけの価値がある。ちなみに、今日のお会計はいくらだったの?

N君:2人で3万円弱でした。でも、今回は解説用のネタを増やすためにたくさん食べたので、ふつうに食べれば1人1万円強じゃないですか?

河岸:回転寿司でちょっと飲んで食べたら2000円とするでしょう。それを何回か我慢すれば、1人1万円でこれだけおいしい寿司が食べられる。

N君:だけど、それじゃ回数が減るじゃないですか。

河岸:そもそも寿司ってそんなに頻繁に食べなきゃいけないものでもないでしょう。本当に記念日とか、ちょっと自分をねぎらいたいときとか、そういうときに食べるごちそうでしょう。

N君:確かに、安い回転寿司に4~5回行くより、今日の寿司1回のほうが満足感は高いかも……。言わんや、「1人6000円はするマグロ以外は論外の寿司屋」を1回我慢すれば、ここに来れるわけですし(笑)。でも、ランチだったらこの店でも1500円からありますよね。3500円のセットだったら、ウニやマグロ、トロも入っています。それを考えると、「ランチこそお得」とは言えませんか?

次ページ残念!高級店のランチは所詮、うまい回転寿司レベル
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 地方創生のリアル
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
頂上決戦!ユニクロvs. ZARA<br>ファストファッション新時代

「フォーエバー21」が経営破綻し「H&M」も販売不振。世界のアパレル市場をリードするのは、首位を独走する「ZARA」と、猛追する「ユニクロ」となった。両社に加え、新興勢力の「ワークマン」「デカトロン」も含めた勝ち残り合戦を追う。