残念!ランチで「うまい寿司」が食えない理由 ヤバい「1万円高級寿司」の裏側【後編・完結編】
寿司職人の腕は「巻き物」に出る!
N君:この太巻きはすごいですね。具がいっぱい入っていて、彩りも見事です。
河岸:具材は、卵焼き、きゅうり、山ごぼう、でんぶ、しいたけ、かんぴょうだね。具材の「赤」「緑」「黄色」の彩りに加えて、「ご飯の白」と「海苔の黒」がコントラストになって、とてもキレイだね。しかも、具がこれだけ入っているのに、具がキレイに真ん中になるように巻かれてあるでしょう。
N君:本当だ、何気なく見えて、こうやって手で巻くのは、なかなか難しそうですね。それが「寿司職人の腕は巻き物に出る」理由ですか?
河岸:それもあるけど、それに加えて、もうひとつ味付けの技もある。この太巻きの具はかんぴょうや卵焼きなど、自分で味をつけたものでしょう。そこには当然、職人の力量が出る。ほかの握りは、いいネタさえ仕入れれば、それだけでそこそこの味になるけど、巻き物はそうはいかない。
N君:確かに、ほかの握りは「ネタ勝負」の部分もあるけど、巻き物はそうはいきませんね。巻き方や具材の味付けで味が変わるからこそ、職人の腕がよくわかるわけですね。
河岸:きゅうりのシャキシャキ、卵のふんわり、かんぴょうの柔らかさ……、いろんな食感が味わえる、これが太巻きの醍醐味なんだ。
N君:目で見て楽しんで、食べて楽しいってことですね。うん、確かに、おいしい! お腹いっぱいだけど、やっぱりペロッと食べちゃいますね(笑)。
寿司屋のお椀に期待しすぎてはいけない
河岸:(板前さんに)細巻き、あと2本ぐらい巻いてもらえるかな?
職人:わかりました。
N君:早速、来ました。ひとつはトロとたくわん、もうひとつはシメサバとガリを巻いたものです。こんな巻き物、初めて見ました。
河岸:「トロたく巻き」「さばガリ巻き」だね。オリジナリティがあっていいよね。どちらも違う食感が楽しめるように工夫されている。職人のセンスが出てるよね。こういうところに、その店や職人の実力が出る。
N君:ちなみにアルバイトやパートが多い回転寿司では、どうやって巻き物を作っているんですか?
河岸:回転寿司では、「寿司ロボット」が作ったシャリにネタを載せているって話をしたでしょ。巻き物も同じで、「海苔巻きロボット」があるの。ご飯を入れて、海苔をセットして、ネタを置いたら、自動的に海苔巻きを作ってくれる。だから、アルバイトでも簡単にそれなりのものが作れるの。「海苔巻きロボット」で検索すれば、ユーチューブでも動画が見られるよ。
N君:へー、そんなのがあるんですね。「寿司ロボット」や「海苔巻きロボット」が機械的に作る光景はちょっと壮絶そうですね……。まあ、安いから仕方ありませんが……。最後に出てきたお椀はどうですか?
河岸:お椀はまあ、こんなものじゃない。和食の懐石と違って、寿司屋のお椀はあくまで汁物だから。この店でダシをとっているけど、「カツオと昆布のダシが強すぎる」って感想を持つ人もいるかもしれないね。
N君:そっか、「和食はお椀が大事」と言いますが、それは懐石のことですよね。
河岸:ここは寿司屋だからね。
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