100円寿司と高級店、1つだけある「同じネタ」

ヤバい「1万円高級寿司」の裏側【中編】

N君:だんだんお腹がいっぱいになってきたので、巻き物に移りましょう。まずは「鉄火巻き」から。ちゃんとカタマリから切ったマグロを、海苔とシャリの上に置いて、それを巻き簾(す)で丁寧に巻いてから切って出してくれましたね。うん、おいしい!

河岸:さっきのマグロもそうだけど、赤身がおいしいから鉄火巻きもおいしいよね。巻き具合も、ちょうどいい。

N君:安い回転寿司の鉄火巻きは、「植物油脂」で増量したチューブに入ったペースト状の「ニセモノマグロ」を使っていたり、切り落としの本来は捨てる「ゴミの部分」を集めて巻いたりしてましたからね。

干しただけの海苔を仕入れて焼くと、もっとおいしい

河岸:だから、そもそも「鉄火巻き」と「カッパ巻き」を同じ値段で出すこと自体がおかしいんだ。だって「マグロ」と「キュウリ」では、どう考えても原価が違うんだから。それを同じ100円で出そうとするから、変なごまかしをすることになる。

N君:言われてみると、カッパ巻きもウニもイクラも全部100円のほうが不自然ですよね。そこに回転寿司の「限界」があるわけですね……。ちなみに、この巻き物の海苔はどうですか?「巻き物は海苔が決め手」と学びましたが(笑)。

河岸:海苔は厚みのあるしっかりした海苔を使っているね。ただ、欲を言えば、ちょっとあぶって香ばしくしてほしかったかな。この店は、焼き海苔を仕入れているけど、本当は干しただけの火入れしていない海苔を仕入れて焼いたら、もっと本当の海苔の香りがする。もうそれだけでごちそうと言えるぐらいおいしい。

N君:家庭でも手巻き寿司では、海苔を軽くあぶったりしますよね。なるほど、理想を言えば、火入れしていない海苔を仕入れて店で焼くと、さらにおいしいわけですね。

河岸:でも今は、火入れしていない海苔を使う寿司屋なんてほとんどないんじゃないかな。1人2万円、3万円の超高級店ぐらいでしょう。

N君:そこがまたミシュラン店との「差」なわけですね。でも、そうしない理由は?

河岸:やっぱり焼くのが面倒だからだろうね。

N君:あと、先日の話だと、寿司はなんだかんだいってもシャリ(ご飯)が大事だという話でしたよね。ここのご飯はどうですか? 前々回に行った「ヤバすぎる『某100円回転寿司』」のご飯はベタ甘でしたが。

河岸:ここの寿司飯は甘すぎずしょっぱすぎず、あっさりしている。ネタに自信があるからシャリに余計な味をつけていないんだ。それからここは管理もいい。ちゃんと使う分だけおひつから移してきて、使わないときは布をかけて水分を飛ばさないようにしている。

N君:なるほど。今回の取材を通して、回転寿司と1万円寿司では何が違うのか、また2~3万円のミシュラン店とも何が違うのか、その両方の「差」がよくわかりました。最後に「寿司職人の腕は巻き物に出る」とのことなので、もう少し巻き物を頼んで、お椀でしめにしましょう!

次ページ番外編で「うますぎる回転寿司」を実名紹介?
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