政治家と「英語教育の未来」を語り合った!

日本の教育を変えるキーマン 遠藤利明(1)

安河内:確かにそう考える方も多いと思うのですが、実際にはそう簡単にはいかないのです。1つの4技能試験で測れる幅というのは限られているので、上から下までというのは難しい。日本の高校3年生の上から下まで全レベルを一度に測るには、computer adaptiveと呼ばれる、受験者によってコンピューターが問題を変えるような高度な技法を使わなければならず、大規模に実施するには、まだ現実的ではありません。computer adaptiveとは、間違ったらコンピューターが問題の難易度を下げて出題し、正解したら問題の難易度を上げて出題していく試験です。

遠藤:なるほど。では、レベル別でテストを分けたほうがいいと?

安河内:ええ。そして、それらのテストを先述の協議会で公正にアセスメントできるようにする。すべてのテストの換算表も用意するのです。大学にどのテストを採用するか公正に選んでもらうためにです。そういった形を目指すのが、最も現実的な解決法だと思います。

TOEFL導入案が生まれた理由

遠藤:よくわかりました。私は「英語教育を何とかしたい」と思っていろいろ模索しているわけなんですが、自分のことを振り返ってみても中学、高校で英語を6年間、習ったけれどまったくできない、しゃべれない。1つには、日本では「教養としての英語」になってしまっている部分も大きいと思うのです。ちょっとでも間違うと恥ずかしい。makeの後にどんな前置詞が来ようと、前後の脈略で何を言っているか相手が推測して理解してもらえるはずなのに、「間違っているからしゃべってはいけない!」と自ら口を閉ざしてしまう。そういった姿勢は絶対に変えていかなければならない、という思いがもともとのスタートとしてあったのです。

それで、どうすれば変えていけるかを考えたときに、誰もが気にするのが大学受験だから、受験を根本から変革して違うものにしようと考えました。今は、安河内さんはじめ、英語の専門家にたくさん協力をしてもらって形が見えつつあるわけですが、たぶん発想は一緒だったんじゃないかと思います。

安河内:ええ、まったく同じですね。ただいろんな声があって、「英語教育は受験のためにあるべきではない」とおっしゃる方もいます。もちろんそれが正論ではあるし、試験を変えるだけで何もかもうまくいくわけではありません。しかし、多くの高校生が受験に向かって英語を勉強するという、動かしがたい実情が日本にはある。つまり、試験を変えないと、偏った受験問題という怪物に、他の努力がすべてつぶされてしまうのです。

遠藤:それで、海外留学するための点数としても通用するTOFEL案を出したところ、「難しすぎて全体にダメだ!」という人もいた。

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