安河内:ええ、大規模な被験者テストを徹底すればできるでしょう。先日、文部科学省において、入試改革に関する小委員会が開かれまして、三木谷さんやほかの先生と一緒に私も出席しました。その話し合いの中で「複数の4技能試験を評価する協議会を設置しよう」ということになりました。協議会を設置し、被験者テストをするのです。
被験者テストは1000人以上の規模で行うことになるでしょう。さらに、今あるセンター試験とも換算できるようにすることも考えています。そして、各大学がどの試験の何点くらいを使えばいいかということを、大学側にわかりやすく提示できる仕組みを作っていこうじゃないかという話になりました。
遠藤:TOEFL Junior Comprehensiveというテストもありますよね。先日、アメリカに教育視察に行った際にTOEFLを作成する団体のETSに行ってきたのですが、TOEFL Junior Comprehensiveと連動しようかという話にもなりました。テストの内容もだいぶ易しいので、先方がOKをしてくれれば連動もありかなと思ったのですが、どうでしょう?
安河内:ええ、それもよいと思います。(手書き資料のTEAPの四角の左横に黄色のマーカーで四角を書きながら)TOEFL Junior Comprehensiveは難易度的にはこの辺りに位置します。もう少し下のレベルにまで対応できるかもしれません。ただし、Juniorという名前がついているからと言って、高校受験のレベルにまでの対応は少し難しいかもしれません。
TOEFL Junior Comprehensiveに関して今、私が、関係者にお願いしているのは、スコアがほかの4つのテストに比べてわかりづらいので、兄貴分の TOEFL iBTのように、はっきり4技能を均等化して表示してほしいということです。ただ、テストの難易度的には、大学入試としてありだと思います。
下のレベルには英検の活用を
遠藤:でも、安河内さんの資料を見ると、日本の高校3年生の下から半分くらいのレベルの学力に該当する4技能のテストがないということになる?
安河内:そうなんです。今、該当するのは英検やGTEC for STUDENTSというテストなのですが、現時点ではこれらは2技能や3技能です。4技能均等ではないのですね。
ただし、GTEC for Studentsはもうすぐ4技能化される予定だそうです。資料にある4つの4技能テスト、そしてTOEFL Junior Comprehensiveは、上位難関大学のレベルです。じゃあ、下は切り捨てになるのか、という話になってしまうんですね。中堅大学の受験生が、仮にTOEFL iBTを受けたとしたら、平均が120点中の20、30点になってしまい、とても正確に実力を判定できるスコアではなくなってしまう。
そこで出てくるのが英検ですね。しかし、英検は現状ではまだ、合格か不合格かの判定型のテストなのです。これではとても細かい判別はできない。英検もTOEFL iBTなどと同じようにスコア表示できるテストに作り替えるべきだと、私だけでなく、文科省のほうからも声が挙がっています。
遠藤:TEAPは上智大学が英検と組んでやっているでしょ? だからTEAPをもっと下のレベルまで取り込めるような試験にできればいいのでは?
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