政治家と「英語教育の未来」を語り合った!

日本の教育を変えるキーマン 遠藤利明(1)

安河内:それは、その通りだと思います。万人向けのテストではないですね。国際通用性の高い重要なテストではありますが。

遠藤:ええ。ただ、安河内さんが言っていたように、さまざまな試験のレベルのアセスメントや換算ができればいいですね。

安河内: 英検5級を受けるべき生徒に1級を受けなさいというはおかしいし、無理がありますよね? だから、TOEFL iBTを受けるレベルにある人はTOEFL iBTを受け、TEAPを受けるべきレベルの人はTEAPを受けるというように、レベルに応じた4技能試験を利用すればよいと思うんです。繰り返しになりますが、試験を難度の高いものに1本化するのは大変危険だし、無理があります。

遠藤:公正に出されたレベルを見て、各々の大学が「本学はこのテストをベースにしてやりますよ」となればいい?

安河内:ええ。

英語が得意な高校生に有利な「みなし満点制」を

遠藤:もともとこの発想をしたときに、センター試験の点数のようにはせず、受験資格にしようと思ったのです。たとえば「GTECの○点以上を取った人だけ、うちの大学の○○学部を受験できます」としたほうが楽なんではないかとね。

安河内:それを上智大学が今年TEAPで開始しています。上智大学は毎年全学部で約1500人の定員なのですが、そのうちの約300人はTEAPを受けて、TEAPの基準点をクリアしたらそれでOK、試験日に英語の受験は不要ということになったのです。

ただ、基準点クリアすればOKとだけしてしまうと、基準点ギリギリでクリアした人も、基準点を大幅に越えた人もまったく同じ評価になってしまう。これだと英語がよくできる子にとっては旨味が少ない。そこで私が提案しているのは、4技能試験による「みなし満点」です。

普通だったら、英語が100点満点で70点ぐらいだったら合格という大学が多いですよね? それを、たとえば「1年以内のTOEFL iBT 80点を持っている人には100点満点をあげましょう」とすること。これがみなし満点です。大阪府が高校入試で予定しているように、みなし9割やみなし8割というのも考えられると思います。

英語満点でそのほかの科目の受験に臨むことができるので、すごく有利になります。だから、英語が得意な学生がどんどんこういったテストを受けようとする動機付けになります。生徒にインセンティブを与えるということですね。「基準点を超えたら、あと点数関係なし」としてしまうと、生徒にとっての4技能テストの魅力が薄らいでしまう。

4技能テストを受けると生徒が得をするという仕組みを作ることで、生徒たちが4技能試験に集まってくるのです。最後に選ぶのは高校生なので、彼らが早めに4技能試験を受けて優位性を確保できる、という仕組みを作っていけたらいい。大学にとっても、英語ができる生徒が集まってくるので魅力的だと思います。

(構成:山本 航、撮影:上田真緒)

※次回は10月15日(水)に掲載します。

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