脱サラして「唐辛子に懸けた男」の凄すぎる生き様 畑の隅にあった「1粒の実」が運命を変えた

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18
拡大
縮小
唐辛子に人生を懸ける芥川雅之さん、その生き方とは?(写真:筆者撮影)
この記事の画像を見る(7枚)

派手なルックスで、ノリのいい人。あるいは、コワモテでとっつきづらそうだが、実は心優しい人──。人は見た目のとおりだったり、そうでなかったりする。これは唐辛子も同様である。

「辛い唐辛子は、やっぱり辛い顔をしています。甘いやつは甘い顔をしている。けれど、美しい顔なのにものすごく辛い、小悪魔みたいなやつもいたりするんです」

そう楽しそうに語るのは、奈良県桜井市で唐辛子農家を営む芥川雅之さん(52歳)。有名な品種からレアなものまで、国内屈指の200~650品種の唐辛子を毎年栽培。独自の手法によってギネス級の辛い唐辛子も生み出し、海外の農園に技術指導も行っている。

激辛メニューを扱うテレビ番組の数々で監修を務め、激辛が売りの飲食店や激辛マニアの間では知らぬ者がいないほど、業界で屈指の唐辛子専門家だ。

唐辛子の美しさに魅了された

一口に唐辛子といってもこんなに多様だ(写真:芥川さん提供)

唐辛子と聞くと、思い浮かぶのは瓶に入った赤い粉か、鷹の爪くらいではないか。少なくとも筆者はそうだったが、芥川さんの農園を訪ねてみて衝撃を受けた。果肉の色は赤、黄色、オレンジ、紫、黒など実に多様だ。形もおなじみの細長いものや、丸くてすべすべしたもの、ゴツゴツしたもの、UFOのようなものなどがある。食べなくても激辛だとわかる、ラスボス的な存在感を放つものもあった。

「唐辛子は形も色もさまざま。育てれば育てるほど、きれいやなと思います。結局、僕は唐辛子の美しさに魅了されているんですよね。毎年、新しい品種と出会うのがすごく楽しみなんです」

そうしみじみと語る芥川さんが脱サラし、唐辛子農家を始めたのは39歳のとき。前職の会社では役員を務め、安定した収入も得ていたが、思い切って転身した。彼を駆り立てたのはいったい何だったのか。

次ページ10年の激務の末
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT