監督兼GM「ゴルフ」トップ選手の知られざる世界 ゴルフはもはや「チームスポーツ」と言える理由

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一流スタッフを揃えようと思えば、当然ギャランティーは高額になります。契約内容によりますが、選手が賞金を得れば、そこから報酬も支払う必要があります。

PGAツアー選手の場合、100位以内だと年間の賞金は2億円をくだりません。これに加え、スポンサーからの収入もあります。PGAツアーのシード120位以内の選手にはほとんどスポンサーが付きます。だから、コーチへの“経費”をまかなうことが可能となります。

チームをマネジメントするのは選手の役割

トップで戦う選手は自分自身でチームをマネジメントしていかなければなりません。いうなれば選手は監督兼ゼネラルマネジャー(GM)のような役割です。GMは適材を集めて組織づくりを担います。野球で言うならば、監督とGMを選手が自分で担い、コーチやフィジカルトレーナーを招聘して結果を出させるイメージです。

ただし、最終的に目指すゴールとゴルフスタイルのコンセプトは、選手が明確に示す必要があります。

このように、海外ではプロのコーチやスタッフとチームを組むことが一流プレーヤーとして戦い続けるための条件になります。適材適所の人材を組織するのは、選手の役割なので自ら適材を探し求めています。

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成長にとって必要なのは、自分を変えてくれる人に教えを受けることです。そして、その教えを受ける姿勢や取り組み方が大事になります。
学校で先生の授業を受け身で聞き、右の耳から左の耳に抜けてしまうようでは意味がありません。ここでは、先生を自ら見つけて教わるというマインドが成果に大きな違いを生みます。大学でも自ら選択し興味を持った先生の授業なら熱心に受講するものです。

これと同じで、ゴルフを上達したいなら、自分でメンターや師となる人を見つけて、教えを請うことです。自分で師を探すことが上達の出発点ですが、ここが欧米と日本では温度差があります。

指導を受ける側の選手は、ただ知識を得るだけではなく、また対症療法的に技術を改善するのではなく、自分のゴルフのビジョンをはっきりと描き、それに向けてのプランを立て、どのようなプロセスでその計画を実行していくのか。上達するためにはゴルフ人生のビッグピクチャーを描き、長期プランを持たなければいけないと思います。

ゴルフ人生をいかに自らマネジメントしていくか、ゴルフ人生のプロジェクトマネジメントをどう進めていくかということが大切になるのです。

吉田 洋一郎 ゴルフスイングコンサルタント

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よしだ ひろいちろう / Hiroichiro Yoshida

北海道出身。世界4大メジャータイトル21勝に貢献した世界 No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。2013年から欧米に渡り、欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上。海外メジャーを含めた海外ゴルフトーナメントに足を運び、選手の現状やティーチングについて情報収集を行っている。ゴルフメディアにおいて、CS ゴルフ専門チャンネル ゴルフネットワーク解説、ゴルフティーチング書籍執筆、 ゴルフ雑誌連載、ウェブコラムなど幅広く活動している。

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